認知症は、今や全国に462万人もの患者がいるとされ、予備軍の軽度認知障害(MCI)の人も合わせると、その数は860万人に上るといわれます。日本は、実に65歳以上の4人に1人が認知症という時代に突入しました。誰もがいずれなりうる病気、それが認知症です。
一般に、物忘れの延長線上に認知症があります。ある日、突然に認知症になるわけではありません。その前兆に気づくことができれば、認知症を未然に食い止めることは可能です。
というのも、認知症は改善しない病気、ではないからです。適切にケアしさえすれば、認知症を発症した人が、治るとはいかないまでも改善する可能性は十分にあることが最新の研究や臨床の現場でわかってきました。
では、私たちが予防のためにできることはなんでしょうか。専門医の長谷川診療所院長、長谷川洋氏に伺いました。
「まず、お勧めしたいのは深く良質な睡眠です。アルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドβ(ベータ)は、加齢により脳内に蓄積していきますが、一方で深くぐっすり眠っている最中に脳から排出されることもわかっています。推奨される睡眠時間は6~8時間です」
「昼寝もお勧めです。疫学研究により、30分以内の昼寝が認知症の危険性を大幅に減らすこともわかっています。ただし、60分以上昼寝すると、逆にリスクが高まるので注意してください」