ゲームだけじゃないよ。VRがトラウマセラピーに活用される

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    ゲームだけじゃないよ。VRがトラウマセラピーに活用される
    Image: Limbix

    VRがエンタメから医療の世界にも。

    VR(仮想現実)といえば、ゲームやエンターテインメントのイメージがありますが、これからは医療の世界でも活躍していきそうです。

    シリコンバレーのスタートアップLimbixが、トラウマ・恐怖症などの心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対するVRセラピーのサービスを開始しました。スマートフォンで気軽に楽しめるGoogleのVRヘッドセット「DayDream」を使って、セラピストと患者が一緒に擬似体験をしながらセラピーを施します。セラピストにとって新しい治療ツールとなっていきそうです。

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    Image: Limbix

    心理セラピーの場合、PTSDを負うきっかけとなった場所へ実際に訪れたり、場所や状況を患者に思い浮かべてもらい、気持ちを話してもらいながらセラピーをします。

    例えば自動車事故でPTSDを負った患者さんの場合、実際に車で事故現場へ行ってセラピーを行ないます。しかし車を運転するには患者さんのトラウマが大きいときや、その場所が遠すぎることもあります。そういう場合に、VRを使用して仮想現実の中でセラピーを行なうと言う訳です。Limbixのブログで紹介されている例では、自動車PTSDのセラピーの映像は、車の上に5台のHDカメラを取り付けて高速で運転しながら撮影したものを使用しています。患者さんはVRを装着して、静かな通りや交通量が増えた道路など、いろんな状況に変化していく中での運転を体験し、恐怖を克服するセラピーを行ないます。

    VRをセラピーで使用することでセラピストと患者が同じ景色・状況を共有しながら、セラピストが患者の心理の安全を確認して治療することができます。患者さんもセラピストが同じ状況下でとなりにいてくれるのは、とても心強いですよね。また、患者さんはトラウマになったつらい状況を思い出しながら、そのときの様子をセラピストに伝えなければなりません。でも、このVRがあれば患者さんにとっては状況の説明などのプロセスが楽になるのではと思います。

    医療のためのVRは、実はこれまでにも開発されてきて、すでにたくさんの患者さんが恐怖症などを克服してきています。ただし、VR自体が高額なものでした。Limbixは気軽にVRをセラピー治療に利用できるように、安価なサービスの提供を目指しているとのことです。これからVRは、エンタメ、医療、そしてもっと様々な分野への活用が期待できそうですね。

    Image: Limbix

    Source: The New York Times, Limbix

    (岩田リョウコ)