新型コロナウイルス禍、ついに宇宙まで…火星探査車を積んだロケット打ち上げが、2年延期

  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • 湯木進悟
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新型コロナウイルス禍、ついに宇宙まで…火星探査車を積んだロケット打ち上げが、2年延期
Image: ESA/ATG Medialab

こんなところまで影響が!

アジアから欧米へと混乱が拡大し、一向に収まる気配がない新型コロナウイルスの感染問題。このほどついに火星探査計画「ExoMars」にまで、その影響がおよんでしまったことが明らかにされましたよ。

欧州宇宙機関(ESA)およびロシアの国営宇宙開発企業となるRoscosmosが共同で進めていたExoMarsは、今夏に火星探査車「Rosalind Franklin」を載せたロケットが打ち上げられ、来年中には火星へと到達して、火星の地表面を掘り起こしながら、生命の起源などを探る探査が進められるはずでした。しかしながら、ESAは、最近のコロナウイルス問題の影響を受け、技術的な問題を解決できないことを理由に、同計画を2年先延ばしにすることを正式発表しています。

ミッションには100%成功させられる自信で臨みたい。一切のミスも許されないのだ。さらなる検証作業を進めることにより、火星への旅を安全に行ない、火星における最高の科学的調査の結果が得られるだろう。

ESAのJan Worner長官は、このように説明して、今回の延期の決定へ理解を求めました。もし現状のまま打ち上げへと進んでも、成功する可能性はあるものの、着実に探査計画を成功させるためには、必要なテストをスキップできないとの見方が示されていますね。どうやら、打ち上げ予定の宇宙船の準備は整い、着陸システムも準備万端。Rosalind Franklinに関しても、すでに打ち上げロケットの「Proton」へ搭載されているものの、火星の地表面への着陸時に使用するパラシュートが、昨年2度にわたって、テスト失敗に終わっていました。今月末に米国オレゴン州で最終テストが進められる予定でしたが、新型コロナウイルス問題に伴う旅行事情悪化で、このテストが予定どおり行なえなくなった要因が大きいんだとか。

ちなみに、地球から火星へ最短距離で到達するため、ロケットは「ホーマン軌道」へ投入して打ち上げられる必要があるのですが、今夏のタイミングを逃すと、次にホーマン軌道を狙って打ち上げられるタイミングは、2022年の8月から10月にかけて訪れます。そこまで延期しなければならないので、火星への到達は2023年まで待たなければならなくなりそうですよ。

ほかにも今夏は、火星を目指して、NASA「Mars 2020 Perseverance」の火星探査車を打ち上げる予定となっているほか、UAE「Hope Mars Mission」の火星探査計画を進める予定。これらが予定どおりに実施されるかどうかも含め、今後の展開が気になりますよね~。