スマホの位置情報を使って、新型コロナ拡大対策に踏み切る国々

  • author Alyse Stanley - Gizmodo US
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  • Rina Fukazu
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スマホの位置情報を使って、新型コロナ拡大対策に踏み切る国々
Image: Spencer Platt/Getty Images

日本はどうなってる?

新型コロナウイルスの拡散防止策として、アメリカではスマホの位置情報を追跡が行なわれています。

Wall Street Journalによれば、アメリカ疾病管理予防センターが国や地方自治体と連携した取り組みとして、モバイル広告会社(携帯電話会社ではなく)が特定の地域のユーザーからの情報を連邦当局に転送しているとのこと。

位置情報で何がわかる?

当局は、500ほどの都市から集められた位置情報は匿名化・集約化されているといいます。感染拡大を監視することのほか、人々が運転した距離や訪問した店舗の数などの変数を使用して、経済的影響を予測するのに役立つそうです。

こうした政府による人々の行動の監視(…というとバズワードのようですが他意なく)によって、人々がソーシャルディスタンシング(他者と社会的距離を置くこと)をきちんと遵守しているのか、実態を把握することができると考えられます。あるときはブルックリンのプロスペクト公園に大規模なグループが集まっていることがわかり、警察が出動したとウォールストリートジャーナルが報じています。

匿名化は本当に可能なのか

データからは、個人情報を特定できる情報が取り除かれているとはいえ、プライバシーの研究者であり活動家であるWolfie Christlさんは同紙へのインタビューで、業界がこの機会にメタデータの共有を正当化しているのではないかと指摘しています。

たとえ企業が密かに/違法にデータを収集したものであっても、緊急事態のもと、消費者データに基づく集約分析を利用することが適切となるケースもあることでしょう。ただ位置情報データの真の匿名化はほぼ不可能ですので、強力な法的保護が不可欠です。

特に、モバイル広告企業の追跡手段を許可する携帯電話ユーザーが多いことと、当局と共有するデータには特定可能な情報が含まれていないことから、アメリカの既存のプライバシー法でモバイル広告企業の規制に関してまだ明確に定義されていないのが実態です(ただし、通信事業者にはあらゆるルールが存在します)。

Washington Postが先日報じたところによれば、匿名化された集計データの取得について連邦当局がFacebook、Google、その他テック企業と「活発な協議」を行なっているとのこと。ユーザーが感染防止ガイドラインを遵守しているか監視することが目的だといいます。

アメリカに限らず...

Reutersの報告によれば、新型コロナウイルスへの対応に迫られた世界各国の政府は、同様の監視を始めています。イタリア、ドイツ、オーストリアは、モバイル通信会社がユーザーの地理位置情報を当局と共有しています(私が住んでいるスイスも同様です)。EUでは先週、ウイルス拡散を予測するため、地域最大の通信会社らに対して顧客の携帯電話から匿名化されたメタデータを共有するよう促しました。

欧米地域だけではありません。アジアでは中国、台湾、韓国の当局が集計されたメタデータを使用して自宅待機令を強化し、検査で陽性反応が出た個人との接触を特定していることをReutersが報じています。

中国ではさらに、アジアテック最大手のAlibaba GroupやTencentと協力して、個人ID番号に関連付けられ色分けされたQRコードを採用し、症状によってウイルス拡大の可能性を判断したうえで個人の移動を制限しています。 このシステムは位置情報のメタデータやID番号などの個人情報を地方自治体と共有しており、その動きを警察が監視できるようになったことが後々判明していることをNew York Timesが報じています。


米Gizmodo記事コメント欄では「致死性よりもプライバシーを優先させる必要なんてある?」といった声もあがっています。みなさんはスマホの位置情報データを使った新型コロナ感染拡大対策についてどう思いますか?

Source: The Wall Street Journal

スマホの位置情報を活用したコロナ対策 ほしい?

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