TCL10 Proレビュー:約4万8000円、コスパ抜群なのに見過ごされがちなスマホ

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  • author Rina Fukazu
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TCL10 Proレビュー:約4万8000円、コスパ抜群なのに見過ごされがちなスマホ
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

最大の課題は、知名度?

ミドルレンジスマホとして新たに登場したTCL 10 Pro。注目ポイントは、今どき珍しい通知ライトなど、かなりユニークな機能を採用していること。

米GizmodoのSam Rutherfordは、こうした多彩な機能の裏には「注目してほしい」というメーカーの意図が隠れているのでは、と考察しています。そんなコスパ抜群のミドルレンジスマホTCL 10 Proの詳しいレビューがこちらです。


エアコン、サウンドバー、洗濯機などあらゆる家電製品を手掛けるTCL(ティーシーエル)

アメリカでは、格安テレビが大ヒットしたのを除けば、Apple(アップル)やSamsung(サムスン)の影に隠れがちで知る人ぞ知るメーカーとなっているようです。とはいえモバイルにおいては仏系Alcatel、ミニマルなPalm、それから最近のBlackberry(今年、提携を解消)など経験は豊富です。

そんな同社の最新スマホTCL 10 Proは、格安テレビと同じようなアプローチで450ドル(約4万8,000円強)という控えめな価格に設定されています。おそらく現在、この価格帯で手に入るスマホと比べても最も機能満載で、高いコスパが見込めるはず。

外観はGalaxy S10っぽい

TCL S10 Proは、滑らかな曲線がかったガラスの背面に金属部分のサイドから高級感のあるデザインが特徴的。どこかSamsung Galaxy S10にも近いような印象があります。

背面カメラやマットな表面の仕上がりなど、細やかなデザインの工夫が施されているのもポイント。今回レビューするのは、グレー色のモデルです。ダークグリーンもあって、もっとかっこいい感じになっています。

サイドの金属面については、ちょっとシャープすぎでは? という声も一部あるようですが、これによって握りやすさが実現できていると思っています。

TCL 10 Pro

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

これは何?:6.4インチの高級感あふれるミッドレンジスマホ

価格:450ドル(日本ではOCNモバイルONEで要契約だが税抜2万9,400円〜。ヨドバシカメラなどでSIMフリー版の取り扱いあり)

好きなところ:コスパ、安定した構造、背面カメラモジュールのフラッシュ、バッテリー寿命の長さ、多機能

好きじゃないところ:ワイヤレス充電機能はなし、防水機能は公式な規格なし、CDMA非対応、カメラの彩度が高いと過度に暖色の画像を生成する

とにかく機能がてんこ盛り

TCL 10 Proで注目すべきは、これほど安価なスマホでは本来省かれがちなコンポーネントや機能が多彩なこと。

ディスプレイ内指紋リーダー、ビルトイン型のIRブラスター(遠隔で家電機器などを操作できる、10万円超のスマホもほぼ非搭載)、大きく鮮やかな6.47インチAMOLEDディスプレイ、microSDカードスロット、そしてヘッドフォンジャックがあります。なんと古き良き時代の通知ライトも採用し、さらにUSB-Cケーブル接続でほかのガジェットを逆充電する機能まで追加されているのも興味深いところ。

さらに、スマホ保護が気になるという人もいるかもしれません(特に、メジャーではないメーカーのスマホだと独自のサイズに合った保護ケースを探すのに一苦労することもありますよね)。TCL 10 Proには、透明なプラスチックケースがついてきます。

ただ、これだけ多機能ではあるものの、Qiワイヤレス充電防水性の公式IP規格などには対応していません。450ドルというミドルレンジスマホであることを踏まえると納得できるんですけどね。

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

スペックも文句なし

Qualcomm Snapdragon 675チップ、6 GBのRAM、128 GBのベースストレージ搭載。実際に使っていても動きがかなりスムーズで、格安〜ミドルレンジスマホに多いような不具合に困ることもありません。

バッテリー容量は4,500mAhで、動画を再生し続けるテストを行なったところ、バッテリー寿命は13時間も長続きしました。この結果は、Pixel 4 XL(12時間36分)よりも20分ほど長く、iPhone 11 Proの結果と同等となりました。

Android 10搭載ですが、比較的スッキリしています。ネットフリックスやフェイスブックがプリインストールされているのは余計な気もしますが...。Smart Keyのようなアプリを使えば、デバイスの左側にある10 Proのプログラム可能なボタンをカスタマイズすることもできます。

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US
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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US
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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US
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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US
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トリプルショットカメラビューも搭載!
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

カメラ性能への期待大

前・後面あわせて合計4つのカメラを搭載するTCL 10 Proは、64-MPメインカム、16 MP超ワイドカム、5 MPマクロカム、2-MP Depthカメラがボケを引き出し、多彩なポートレートモード効果を発揮します。これだけでおそらく2倍以上の値段がするスマホの多くよりも優れているといえるでしょう。

もちろん、iPhoneやPixel 3aのようなものに匹敵するとは言いません。が、700ドルのOnePlus 8と比較すると、TCL 10 Proにはそれ以上のカメラ性能があります。明るい/暗い環境の両方で、TCL 10 ProはOnePlus 8よりも明るく鮮明でカラフルな画像を撮影してくれます。

唯一の主な問題は、ホワイトバランスが一貫しないところ。黄色、オレンジ、赤の色調を強調する過度に暖かい色合いの写真を生成するところがあります。

欠点は、コンプレックス?

正直なところ、TCL 10 Proは多彩な機能を詰め込むことで認知度向上に必死な印象があります。

このことが垣間見れるのが、カメラアプリのデフォルトでウォーターマークがついていること。テスト撮影を終えてから気付いたのですが(以下の画像でも、左下にTCL 10 Proのロゴがしっかり入っているのはそのため)、設定でオフにすることができたようです。ただこの機能が最初から自動で有効になっているのはどうなんだ...と思うところはあります。

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TCL 10 Proの方がシャープなのがわかりますが、同時に暖色系の色みが強く出ています。
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US
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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US
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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US
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やはり黄色やオレンジ系の色に対しては過度に暖色になる傾向があります。
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US
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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

さらにTCLは、テレビディスプレイの製造経験から、カラーモードの変更などが可能なプリインストールアプリでNXTVISIONプラットフォームをプッシュしています。実際にNXTVISIONアプリの設定をいじってみると、視聴体験がわずかに変わるのがわかります。それがすごくて感動する...かというと、あまり期待するほどではないかもしれません。

おそらくTCLは、製品を通じて会社全体の知名度向上や相乗効果を目指しているのかもしれません。でもこうした企業努力をもう少し製品のほうに投入できたのではと思うところもあります(たとえばイヤホンをセカンドスピーカーとしても使えるようにして、片側モノラルサウンドではなく、より豊かなステレオオーディオ体験を提供するなど)。

でもそれ以外では、TCL 10 Proはシンプルでしっかりと設計されているのがわかります。この価格帯で手に入るスマホと比べても、多彩な機能を抱える素晴らしいスマホではないでしょうか。最後にひとつだけ言うならば、格安テレビのときと同じく、コスパ抜群なTCL 10 Proも、メーカーとして忘れられない存在になると良いなと願わずにはいられません...!

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

README

・TCL 10 ProはCDMAネットワーク非対応なので、キャリアによっては使えない(アメリカではVerizonや古いSprintなど)

・ノッチあり。気になる人は、アプリを使ってカバーすべし

・左ボタンはGoogle Assistant専用。ただし、アプリやBluetooth、フラッシュライトなど好きなものをプログラムで開けるようにすることも可能

・良い意味で、Galaxy S10の格安スマホ版

・TCLいわく、10 Proは少なくとも2ヶ月〜2年で1度以上のメジャーなアンドロイドアップデート、セキュリティパッチの対象となるとのこと

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