大東文化大在学時から、ファンの熱い視線が寄せられていたトンガ出身の双子、アマト&タラウ・ファカタヴァ選手。リコーブラックラムズに入団したばかりながら、すでに次期ラグビーワールドカップ日本代表の最有力候補との声が続出。インタビューでは二人の全身から放たれるパワフルなオーラに圧倒されるや否や、声のか細さにびっくり! 「郷に入れば郷に従う」をモットーに、支え合い、異国の地で才能を伸ばし続ける二人の絆や、選手として欠かせないという“自信”のつけ方を聞いた。

―異国の地でも寂しさを感じないのは、身近にいる兄弟のおかげ
タラウ:高校でニュージーランドに留学してから今まで、ずっと海外暮らし。日本での生活にも慣れて、今はとくに不便を感じることはないかな。
アマト:ニュージーランドで暮らし始めたときは、しばらく ホームシックだったね。それでも頑張れたのはタラウと一緒だったから。ずっと家族に頼って生きてはいけないし、将来は僕たちが家族を支えなければいけない。そのためにも、自分たちの手で未来を切り開いていかなければいけないと思えるようになったよ。

タラウ:何より、日本はとても快適な国。みんな驚くほど親切で、チームメートやスタッフにはいつも助けられているよ。それから、食べ物もおいしい! とくにラーメン、焼肉、お寿司。たまらないよ。
アマト:そういえば昨日もラーメンを食べたな(笑)。僕たちのお気に入りはみそラーメン。トンガにはない味覚 で、初めて食べた時は衝撃的だったよ!

タラウ:トンガでの主食はタロイモ。日本のお米のような存在かな。毎日食べるから、ほとんどの家庭が庭で栽培しているんだ。僕たちも小さい頃から庭を耕して育ったよ。
アマト:(二の腕の筋肉を指差しながら)この筋肉は、農業とタロイモのおかげだね!(笑)

―東京でのスピーディーな生活は刺激的!
アマト:トンガもニュージーランドも自然が豊かで、のんびりとしている。東京は何もかもがスピーディーで、時間の流れが全く違うよ。時間を守ることの意識も高いしね。よく「ストレスにならない?」と聞かれるけど、その反対さ。刺激的で気に入っているよ。
タラウ:同じく。郷に入れば郷に従うっていう言葉は、ラグビーもしかり。日本でラグビーをする以上、日本のルールを守るのが当たり前。それなしに勝利や成功は不可能だと思っているよ。
アマト:その土地ならではの“常識”を知り吸収することは、自分たちの成長にもつながる。日本に遊びに来ているわけではない、という意識は常に抱くようにしているんだ。

―ポジティブなマインドこそが、成功への第一歩!
タラウ:これはラグビーだけでなく、すべてのスポーツ、仕事にも言えることだと思うけど……ネガティブな思考を持っていて、いいことってひとつもない。試合ならなおさら、いい結果を招くことは絶対にありえないね。
アマト:同感! 落ち込んだときも、すぐに気持ちを切り替えるようにしているよ。ネガティブな気持ちのままでプレーを続けると、パニックに陥りやすくミスが増えるんだ。

タラウ:気分を上げるために取り入れているのが音楽。試合前に精神統一をするときにも、音楽が欠かせないね。
アマト:会話をすると気が散ってしまうからね。その時々の気分に合った音楽を聴きながら、目標とすべきプレーや自分の役割をイメージするんだ。
タラウ:僕のお気に入りはカントリーミュージック。それからレゲエもよく聴くね。
アマト:トンガでは、レゲエがポピュラー。人生や哲学を語る曲が多く、歌詞から多くのことを学べるんだ。

―“期待”はプレッシャーよりも自信につながる
アマト:僕たちの大きな目標のひとつが、次のラグビーワールドカップの代表メンバーに選ばれること。国内外のベストプレイヤーと戦えるなんて、考えただけでもワクワクするよ。
タラウ:代表候補として期待していただくことは、本当に名誉なこと。プレッシャーよりもうれしさが勝るし自信につながっているよ。

アマト:プロのスポーツ選手として自信は必要不可欠! でも自信って、頭で考えて得られるものじゃないから。まずはチームメンバーやスタッフを信頼して、自分の役割をしっかり把握する。その役割を果たし、期待に応えることで、身につくものだと思う。
タラウ:期待してくれる人の存在が、モチベーションになる。「求められることを達成する」を第一に、日々のトレーニングや練習に励むのみだね。

アマト・ファカタヴァ、タラウ・ファカタヴァ1994年12月7日生まれ、トンガ出身。ポジション:[アマト]フランカー&ウィング、195cm/118kg[タラウ]ロック、194cm/118kg。子供の頃からラグビー観戦が趣味で、11歳のときに始める。早くから才能を認められ、奨学金を得てニュージーランドの高校に留学。15年に来日し、大東文化大学に入学。19年に卒業し、現在所属するリコーブラックラムズに加入。20年1月に、ジャパンラグビートップリーグ公式戦初出場を果たした。