甘いルックスに激しいプレースタイルというギャップが魅力の秦啓祐選手。女性ファンも多いのではと聞くと「中学校ではおばちゃんらに人気で『マダムキラー』と呼ばれてました(笑)」とのこと。周りからは「笑いのセンスはゼロ」と言われると言うが、ラグビーへの思いや意外な特技、大好きな犬のことなど多くを積極的に語ってくれた。

―ラグビーは周りをアシストする選手が多い
小学3年の時にラグビーを始めました。幼なじみのお父さんがラグビースクールを始めるとのことで、「よかったらやってみないか」って誘われたんです。もともと僕の父親がラグビー経験者で、写真が家に飾ってあったのを見て興味は持っていました。それでスクールに体験に行ったら楽しかったので、入ることにしました。

中学では野球をやりたくて、両親と相談し3年間野球に打ち込みました。ラグビーはいったん離れています。高校でも野球を続けようと思って、小倉高校のオープンスクールに行ったんです。

そこでラグビー部の監督に会う機会があって、「体が大きいね。ラグビーやったらいいんちゃう?」と口説かれました(笑)。同時に先輩たちが頑張ってる姿を見たことでラグビーへの気持ちを思い出して、もう一度頑張ってみようと決心しました。社会人まで続けられているので、その時の選択は間違ってなかったと自信を持って言えます!

ラグビーは1チーム15人。ほぼ全員がボールを持ってパスしたりボディーコンタクトしたりと、得点が入るまでにたくさんの人がプレーに関わるスポーツです。全員が特徴的な役割を持っていることがいいところで、やりがいを感じます。また、全員が自分のプレーだけでなく周りのことを考えて「この人やったら、こういうプレーするやろな」っていう予測をしながら常に動いて助け合うことにも魅力を感じます。自分は“ナンバーエイト”という、主に攻撃に関わるポジションなので、できるだけボールの近くにいてプレーしようと心掛けています。

キックオフ、ドロップキックなど高いボールのキャッチに、野球で磨いたスキルが役に立ってるかも(笑)。落下地点の予測するのは割と得意です。

野球は今でも好きですよ。時々、テレビ中継を観戦してます。地元の福岡ソフトバンクホークスの試合が関西であるときは球場観戦に行きたい気持ちもあるんです。前々から福岡出身のチームメートを誘おうと計画はしてるんですけど、まだ実現できてません……。

―行き詰まったら、紙に書き出して目標を明確にする
プレー面などで行き詰まったら、ラグビーノートに自分の足りない部分や課題、それからなりたい自分も書いて、それに対してどういうことをすればそのレベルまで近づいていけるかを確認します。足りない部分を改善するにはどれが必要なのかをさらに書き出します。

もっと細かく言うと、足りない部分はなぜできていないのか自分なりに原因を探し出して、○○をすれば改善できそうだと小さい目標を立てるんです。それをクリアできるように自主トレなどをする。それの繰り返しです。

大学のときに「課題はちゃんと書き出したほうがいいよ」って誰かから教えてもらったんです。それからずっとラグビーノートを書いてます。僕は、思いついたこともすぐ忘れちゃうので、書くことで意識が高まるんですよね(笑)。紙に書いたものを部屋の見えるところに貼ったりして、いつでも見られるようにしたこともあります。

これを習慣づけるようになったら、ラグビー生活が全然違いました。高校よりも大学のほうが“ラグビーをきちんとやってる感”がすごくありました。課題をクリアし続けることで、自分で成長している実感があるとすごく楽しいんですよね。一段とラグビーにハマれるきっかけになりました。

課題は自分の中に留めておきたい方ですが、自分で考えてもわからないことは助けを求めるようにしてます。コーチやチームメートなどからのアドバイスもしっくりきたものはノートに書き留めて見直したりして、次からは自分でコントロールできるようにしています。

―キツイときこそ余裕そうにふるまう
高校で「敵チームにつけこまれるから、キツイっていう動作を見せるな」と監督から言われたことがあるんです。それからはキツイときこそ声を出したり、明るく振舞ったりしようと心掛けてます。

社会人になっても「膝に手をつくな。ネガティブなところは見せるな」とコーチから言われているので、日頃の練習や筋トレでも100%以上の力で取り組んで、キツくてつらいメニューでもやり切ってます。そうは思っていても、全力以上の気持ちで動いている試合にもしスタートから出れば、後半の20分以降は時々キツイ表情が出ちゃっているかもしれないです……(笑)。

その心掛けは業務仕事でも役に立ってると思います。大変なことを頼まれても「大丈夫です。やります!」と余裕の表情を見せてポーカーフェースを作ってます(笑)。おかげで、いろんな仕事を任されることもあるんです。でも、多くの業務をすることでたくさんのものを吸収できるし、吸収して成長したほうが仕事を任せてもらえると思ってます。これからも“余裕の表情づくり”を狙っていきます(笑)。

―手先は不器用だけど、けん玉検定4段!
実は、けん玉が得意なんです! ギョーザを包むといった細かい作業は苦手なんですけどね(笑)。小学校のクラブ活動でけん玉がすごく上手な先生が教えているのを見て、楽しそうだなと僕も習い始めました。やり始めるとどっぷりハマっちゃって、けん玉検定試験を受けて4段まで取りました! 最近はけん玉に触れる機会があまりなかったんですけど、またやり始めてみたんです。僕のInstagram(@keisuke_shin)で、“うぐいすの谷渡り”という技を披露しているので、気になった方はぜひチェックしてみてください! これからも、ちょくちょく腕前を披露していきたいと思ってます。

―オフのリラックス方法は犬の動画観賞
休みの日は、基本的にラグビーから離れるようにしています。いつもラグビーのことを考えてるよりは、メリハリをつける方が集中力が上がるかなと思って。集中があまり続かないほうでもあるので……(笑)。

外出するときは買い物をしたり、ドライブしたり……。家にいるときはYouTubeやInstagramで犬の動画を見て癒やされてます(笑)。犬は大好きです! 大きい犬、ゴールデン・レトリーバーとラブラドール・レトリーバーが特に好きです。

実家ではミニチュア・シュナウザーを2匹飼っていて、めちゃくちゃ可愛いので……結局は小さい犬も大好きです! ちなみに2匹も僕のInstagramに登場しています。今ペット可のマンションに住んでいて飼いたいので、どの犬がいいか調べてる最中なんです。でもみんな可愛くて選べない……(笑)。

―SNSでラグビー関連の投稿を見るとうれしい
SNSはどちらかというと苦手ですが、ラグビーをもっと身近に感じてもらおうとInstagramを頑張ってます。タイムラインなどでラグビー関連の投稿をしてる人が増えたのを見ると、昨年のワールドカップの反響がすごくあるんだなって実感できるんですよね。

今まではコアなファンばかりだったんです。その方たちの熱さはすごくうれしくて、とても励みになっています。一方で新しくラグビーに興味を持ってくれた方には、SNSなどを使ってラグビーや選手たちのアピールを僕なりに頑張りたいです。もちろん、プレーのパフォーマンスを良くすることにはさらに頑張りたいと思ってます!

秦啓祐(しん・けいすけ)1994年10月4日生まれ、福岡県出身。ポジション:ナンバーエイト(NO8)、182cm/93kg。小学3年の時に幼なじみの父親が立ち上げたラグビースクールに通ったことをきっかけに始める。小倉高校を経て同志社大学へ進学。高校日本代表候補、セブンズ日本代表に選出経験あり。2017年よりNTTドコモレッドハリケーンズに所属。