戸田懐生(東海大菅生ー徳島インディゴソックス)甲子園での成長
埼玉西武ライオンズの伊藤翔や千葉ロッテマリーンズの鎌田光津希をはじめ、多くの好投手をNPBへ送り出している四国アイランドリーグPlusの徳島インディゴソックス。そんな徳島インディゴソックスに新たに加入した期待のホープが、戸田懐生だ。
2017年の夏、甲子園でベスト4に進出した東海大菅生で背番号11を付けてベンチ入り。当時は先輩であるエース・松本健吾(現・亜細亜大)との投手陣を引っ張り、チームの躍進に大きく貢献した。
成長させた甲子園という舞台を戸田自身はどう捉えているのか。あの夏から2年経った今だから見えてきたことを聞いてみた。
愛知から東海大菅生へ
戸田懐生(東海大菅生ー徳島インディゴソックス)
元々は愛知出身の戸田。中学時代は愛知衣浦シニアで投手兼野手としてプレー。1つ下に長屋陸渡(東邦)や野村健太(山梨学院)がおり、中学3年生の3月に行われた第21回日本リトルシニア全国選抜野球大会に出場した。
そんな戸田が東海大菅生へ進学した理由は若林弘泰監督だった。
「若林監督が見に来てくださって、最初に声をかけていただいたので、進学するのを決めました」
当時の東海大菅生は勝俣翔貴(国際武道大)など注目選手を育て上げ、西東京大会でも上位進出する強豪校だった。
「毎年決勝まで行っていたのでプレッシャーみたいなのはありました。ただ、声をかけてもらえたのは嬉しかったですね」
重圧と嬉しさの両方を感じながら、戸田は2016年の春に東海大菅生の門をたたく。すると1年生の夏から公式戦で投げるなど、早い時期から経験を重ねていく。そんな戸田を大きく飛躍させたのは冬場の練習だった。
「朝5時くらいには起きて、そこから学校の近くをランニング。それが自分にとって想像以上にきつかったです」
だが、厳しい練習に耐え抜いたおかげで球速は入学当初135キロだったが、140キロまでアップ。今も戸田を支える武器は冬場の走り込みがポイントだったのだ。
[page_break:甲子園を経験し大きく成長]甲子園を経験し大きく成長
戸田懐生(東海大菅生ー徳島インディゴソックス)
そして迎えた2度目の夏、戸田はエースナンバーを背負って西東京大会に挑み、4試合に登板。決勝戦こそ先輩の松本にマウンドを譲るも見事優勝し、甲子園への切符を掴んだ。
甲子園では背番号11をつけてベンチに入り、3回戦の青森山田戦では先発して9回1失点の完投勝利。大舞台で貴重な経験を積んできた。
「神宮球場とは違った雰囲気と言いますか、マウンドから見える景色が違うので、思った以上に緊張せずに楽しかったです」
大舞台を楽しんだ戸田だが、もちろん悔しさもある。準決勝の花咲徳栄戦だ。
同点の8回二死満塁でマウンドにいた戸田は、花咲徳栄9番・岩瀬 誠良(現・深谷組)に勝ち越し打を許した場面。このシーンについて、
「花咲徳栄とは結構練習試合をやっていて、甲子園前にも試合をやりました。その時はコールドで勝ちましたが、あの時は一球の失投で打たれたので一番印象深いです。やっぱり練習試合と公式戦は違うんだと思います」
それでもチームはベスト4。全国で結果を残すことが出来た。戸田にとっても2年生で甲子園に出られたことは自信につながった。
そんな戸田は現在徳島インディゴソックスでクローザーを務める。
「自分が打たれたら試合が終わってしまう大事なところで、いかに0点で抑えるか。そのあたりは高校野球と近いものがあります」
あの夏戦った花咲徳栄の当時のエース・清水達也がプロの世界で初勝利を収めるなど、ライバルたちがそれぞれの舞台で活躍することに刺激を受けている戸田。今の目標を聞くと、「後期シーズンも優勝して日本一になり、そしてプロ野球選手になることです」と語った
現在は最速146キロになったストレートを軸に、カーブ、スライダー、チェンジアップ。そして新兵器・カットボールを携えて、甲子園の時と同じ背番号11をつけて独立リーグで己を磨く日々を過ごす。最後に高校球児へメッセージをもらった。
「今いる仲間と甲子園を目指す期間は短いので、毎日死に物狂いでボールを追いかけてもらえればと思います」
戸田がドラフト解禁になるのは2020年から。オリンピックイヤーのドラフトを沸かせる逸材として、戸田は虎視眈々とNPBを目指す。
文=編集部