石仏峠周辺で清掃活動に取り組む中学生=宝達志水町見砂

石仏峠周辺で清掃活動に取り組む中学生=宝達志水町見砂

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宝達志水の団体 大伴家持ゆかりの古道清掃

北國新聞(2020年6月29日)

 県内での新型コロナウイルス感染症の第1波収束を受け、子どもたちの奉仕活動再開の動きが広がっている。28日、宝達志水町と志賀町では「3密」を避けながら、笑顔で活動に汗を流す子どもの姿が見られた。
 宝達志水町の志乎(しお)郷土史会は、氷見市境近くにある万葉歌人の大伴(おおともの)家持(やかもち)ゆかりの峠道「臼ケ峰(うすがみね)往来」の石(いし)仏峠(ぼとけとうげ)付近で、草刈りと清掃の奉仕活動を行った。2年目の今年は中学生が初めて参加し、同会メンバー6人と一緒に郷土の歴史に理解を深めた。
 臼ケ峰往来は、古くは越中と能登を結ぶ幹線道路として利用された。越中国司として赴任した家持が748年に能登巡行で歩いたとされ、町文化財に指定されている。郷土史会は昨年、7年ぶりに復活し、「令和」の典拠となった万葉集ゆかりの家持が関わる歴史遺産の古道を顕彰する活動をしている。
 参加した中学生は、宝達中3年の三村瑚雪さんと1年の土上穂乃果さん。2人は空手を習う友人で、三村さんの母親が郷土史会に所属する縁で清掃活動に加わった。2人は昨年11月、志賀町出浜と羽咋市千里浜町にある家持の歌碑を訪ね歩く会(北國新聞社後援)にも参加している。
 石仏峠周辺には、愛好家が過去に立てた万葉歌碑群や、国文学者で歌人の折口春洋(はるみ)(羽咋市出身)をしのぶ歌碑群など80以上の石碑がある。生い茂った雑草に埋まっていたが、この日の作業で石碑は通行人が視認できるようになった。
 三村瑚雪さんは「古道が地元の人に大切にされてきたことを実感した」と振り返った。郷土史会の西塔正樹会長は「若い世代にこの道が持つ価値を知ってもらい、後世に伝えていきたい」と期待した。

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