銀行の基幹システムに、インターネットを介して外部のサービスが接続できる銀行API。その最初のマイルストーンが大詰めを迎えている。銀行APIが整備されることで、いったい何が変わるのか。
2020年6月までに、国内130ほどある銀行のうち、80行程度以上の銀行におけるオープンAPIの導入を目指す――。いまから3年前の17年に、政府が「未来投資戦略2017」の中の1つとして掲げた、フィンテック関係のKPIだ。
この銀行APIについて、電子決済等代行業者協会の代表理事を務める、マネーフォワード取締役の瀧俊雄氏は、「21世紀のATMである」と表現する。銀行からお金を引き出したり、振り込みをしたり、通帳記帳したりする、物理的な基盤がATM。これらの機能を、インターネット上のサービスから行えるのが、銀行APIだと考えると分かりやすい。
ATM機能 | 銀行API |
---|---|
口座開設(印鑑) | 口座開設(eKYC) |
現金をおろす | チャージ元としての銀行口座 |
残高照会・記帳 | 家計簿・会計ツール・アラート |
振込(窓口・ATM) | 取引需要の発生する場所へのSDK |
アクセスのよい所にATMを置く | トラフィックの多い所にAPIをつなぐ |
ATMがあるから使う | 求めているUXがあるから使う |
なんだ、ATM機能がネットに置き換わるだけか、と思うと、影響を見誤る。利用者に「なぜこの銀行を使っているんですか?」と聞くと、多くが「ATMが通勤路にあるから、または勤務先から給与振込口座として指定されたから」と答えるからだ。
いわば良い立地にATMがあることは、その銀行の最大の利便性だと捉えられ、優秀な営業マンとして口座獲得に貢献してきた。ところが、進展著しいキャッシュレスと銀行APIが組み合わさることで、風景は一変していくだろう。
「現金がフィンテックの力でなくなっていく中では、銀行も、別の要素で選ばれていく。これが今後の世界観だ」(瀧氏)
現金がなくなった世界ではATMはいらない。そして、これまでのように物理的に人間が移動しなくても、銀行APIによって、オンラインでさまざまな手続きができるようになっていくからだ。
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