マイホームを購入するのは多くの人にとって憧れの的だが、近年の日本では、家を買うことが冗談抜きで困難になっている。「夢のマイホーム」という言葉があるが、家を買うことは本当に夢となりつつある。
NTTドコモが2019年に行ったアンケート調査によると、「持ち家にこだわる」と回答した人は42.1%だったのに対して、「賃貸の方が気楽」と回答した人はわずか7.8%にとどまっている。持ち家を希望する人が多いことはよく知られているが、数字を見るとやはり圧倒的だ。
だが日本の現実は、多くの国民の願いとは正反対の方向に進んでいる。不動産経済研究所の調査によると首都圏における新築マンションの販売価格は、過去20年間、基本的に値上がり傾向にあり、本格的に値下がりしたことは一度もない。2000年における一戸あたりの平均販売価格は約4000万円だったが、現在は6000万円を突破している。これは首都圏の価格とはいえ、6000万円台にまで上がってしまったら、普通のビジネスパーソンが家を買うことなど到底不可能だ。
マンション価格が異常な水準まで上昇しているにもかかわらず、購入者の年収は下がる一方だ。国税庁の調査によると00年における給与所得者の平均年収(全給与所得者対象)は400万円を突破していたが、18年は371万円とむしろ下がっている(1年以上勤務した給与所得者に対する調査でもやはり年収は下がっている)。
つまり同じ期間で、年収が1割近く下がったにもかかわらず、マンション価格は1.5倍に上昇したことになる。労働者の平均年収が下がっているのは、日本が経済成長を実現できておらず、賃金が上昇していないからだが、経済成長していないにもかかわらず、なぜマンション価格は上昇するのだろうか。これには諸外国の経済状況が密接に関係している。
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