ソニーモバイルのフラグシップスマートフォン「Xperia 1 II」。「決して万人受けではない」とソニー自らが言ってしまうほど、さまざまなジャンルの「好きを極めたい人々」がターゲットの端末であり、前モデルの「Xperia 1」は「Cinema Pro」を搭載して映像制作に特にフォーカスしていた。
今回力を入れたのはスチルカメラ。ソニーは今一番元気があるカメラメーカーであり、同社のミラーレス一眼αシリーズはデジタル一眼市場でトップを走っている。デジタル一眼のトップであるαシリーズと「ワンチーム」で今回のXperia 1 IIを開発したのだという。
その発売に先駆けてXperia 1 IIのカメラ機能についての説明会がオンラインで開催されたので、簡単にレポートしたい。
今回大事なのは、Xperia 1 IIのカメラの位置付け。今や、カメラメーカーのトップであるソニー。最上位の「α9」から始まるソニーの「イメージングプロダクトファミリー」ピラミッドの一部に組み込まれたのだ。
Xperia 1 IIは「カメラ機能を持つスマートフォン」ではなく、スマートフォン機能を持つソニーのデジタルカメラ群の一員になるためのカメラ機能強化がなされたのだ。
それを念頭に置いて新しいカメラ機能を見ていこう。
アウトカメラは3つある。超広角は16mm相当、メインカメラとなる広角カメラは24mm相当、望遠カメラは70mm相当となった。Xperia 1では広角カメラは26mm相当で望遠カメラは52mm相当と2倍の関係になっていたのだが、それが24mm相当と70mm相当にちょっとシフトしたのが特徴だ。
なぜか、というと、カメラ界隈で言われる「大三元レンズ」の焦点距離を意識したから。カメラの世界では俗に「大三元」と呼ばれるハイエンドズームレンズがある。広角ズーム(16-35mm F2.8)、標準ズーム(24-70mm F2.8 )、望遠ズーム(70-200mm F2.8」の3つだ。
その3本を表しているのである。
そしてメインカメラとなる24mm相当の広角カメラはXperia 1よりも一回り大きなセンサーを搭載。
同じ1200万画素ながらセンサーサイズが大きくなったことで画素1つあたりのサイズが約2.2倍になり、より高感度に強くなった。
ちなみに超広角カメラは1/2.6型、望遠カメラは1/3.4型でちょっと小さい。この辺は前モデルと同じだ。24mmから70mmの間は広角カメラのデジタルズームで補う。
さらに4つ目のセンサーとして距離を測るための「iToFセンサー」を搭載。このセンサーは広角カメラの約8割のエリアをカバーする画角を持ち、4万3200点を測距する性能を持つ。
イメージセンサーの像面位相差AFとiToFセンサーの測距データを合わせ、さらにAIを駆使することで主要被写体を判別し、撮りたい被写体が画面のどこにあっても高速にピントを合わせてくれるということだ。
これらにより、AF/AE追従で秒20コマの超高速連写(後述するPhotography Proアプリ使用時)が可能となり、さらに人物のみならず動物AFにも対応した。距離が遠いときは動物全体を認識し、近くなると瞳AFが働くようだ。これは期待したい。
まとめると、トリプルカメラの焦点距離が16-24-70mmという一眼カメラ好きにはおなじみのものになり、24mmカメラのセンサーが1/1.7型と大きくなりながら画素数据え置きで画質が向上し、iToFセンサーや像面位相差センサーやAIのおかげでAFが超賢く高速になって動物瞳AFにも対応し、超高速連写も可能になったというわけだ。
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