世界を変える5G

ソニーモバイルに聞く「Xperia 1 II」 5G対応からカメラの進化、イヤフォンジャック復活まで(1/2 ページ)

» 2020年06月12日 06時00分 公開
[山口健太ITmedia]

 ソニーモバイルコミュニケーションズのXperiaシリーズとして、初めて5Gに対応したフラグシップモデルが「Xperia 1 II」だ。KDDIからは5月22日に発売され、NTTドコモからも6月18日に発売予定となっている。

 特徴的な21:9の4K有機EL画面を前モデルの「Xperia 1」から受け継ぎつつ、カメラには新たに「α」シリーズの操作性や高速連写機能を搭載した。その狙いはどこにあるのか、同社企画部の渡邊浩彰氏、企画部の大谷祥子氏、商品設計部門 機構設計部の櫻井敬久氏、商品設計部門 商品部の和久健二氏に話を聞いた。

Xperia 1 II シリーズ初の5G対応スマートフォン「Xperia 1 II」

初の5G対応を実現しつつ、スリム化を実現

Xperia 1 II 企画部の渡邊浩彰氏

―― Xperia 1 IIの開発にあたって重視したポイントを教えてください。

渡邊氏 前モデルが搭載した21:9の画面は、7割以上のお客さまにご満足いただけました。Xperia 1 IIでは、フォトグラファーや映画愛好家、ゲームプレイヤーなど「好きを極める」ユーザーを想定し、本格的な機能を詰め込みました。その上で、下したのが「サイズは犠牲にしない」という決断です。厚みはXperia 1よりも薄い7mm台を死守することにしました。

―― Xperia 1 IIの5G対応はSub6のみの周波数です。ミリ波への対応はどう考えていますか。

渡邊氏 Xperia 1 IIのターゲットではSub6が向いていると判断しました。ミリ波は障害物があると減衰するため、局地的なニーズがあります。ミリ波に対応したモデルとしては「Xperia PRO」の開発を表明しており、B2Bやソリューションとして差別化した展開を考えています。

和久氏 5Gはまだ黎明(れいめい)期ということもあり、「正解」が分からない中で、パートナーと一緒に開発を進めています。ミリ波についてもパートナーと実施してきたトライアルで技術はありますが、今まで扱ってきた周波数の帯域とは全く違います。アンテナを幾つどう配置するか、どういった商品にするかによって、サイズ感は大きく変わってくるでしょう。

―― ミッドレンジモデルの5G対応はどう考えていますか。

渡邊氏 5Gはまだ始まったばかりです。アーリーアダプターに向けた機能として、まずはフラグシップモデルに搭載しました。ミッドレンジモデルについては、5Gネットワークの展開状況やユーザーニーズを見ながら検討していきます。

レンズ交換式「α」シリーズの高速連写機能を搭載

―― Xperia 1 IIのカメラ機能について、開発コンセプトを教えてください。

渡邊氏 Xperia 1 IIではフォトグラファーをターゲットに、レンズ交換式カメラユーザーにも満足していただけるものを目指しました。「α」シリーズの操作性を再現した「Photography Pro」や、ZEISSによるレンズコーティングを採用しています。

Xperia 1 II ZEISSのコーティングをカメラに施している

―― ZEISSのコーティングを採用したメリットとは?

渡邊氏 ZEISSのT*(ティースター)コーティングでは、階調や透明感、被写体の微細な質感を表現できます。レンズのフレア、ゴーストを最小限に抑えることで、クリアな描画を得られます。

Xperia 1 II 企画部の大谷祥子氏

大谷氏 フレアやゴーストが発生しやすい逆光のシーンでも、忠実な色再現により描写力を高めています。

―― Xperia 1 IIではレンズの焦点距離が16mm、24mm、70mmになりました。

渡邊氏 レンズ交換式カメラでは広角16-35mm、標準24-70mm、望遠70-200mmという、いわゆる「大三元レンズ」が使われています。サイズ感やF値を含めたところも考慮し、レンズ交換式カメラのユーザーが満足する品質を目指して採用しました。

―― 他社スマホでは高倍率ズームの競争が始まっています。

大谷氏 Xperia 1 IIでは70mmの3倍弱となる200mmまでのデジタルズームに対応しています。これ以上、ズーム倍率の数字を伸ばしていくよりは、画質を担保することを優先しました。

―― 動画撮影は4Kにとどまっています。8K動画についてはどう考えますか。

大谷氏 8Kでは大きいピクセル数が必要になります。Xperia 1 IIでは開発段階からピクセル数よりもスピード性能を優先したため、採用は見送りました。

渡邊氏 当社による調査では、人物やペットなど動いている被写体を撮るユーザーが多かったことがスピード性能を優先した理由です。

―― AIを駆使した、SNS映えのする写真についてはどうでしょうか。

大谷氏 Xperia 1 IIでは画質や色味、写実性をとことん突き詰め、シャッタースピード、ISO、ホワイトバランスを任意で操作し、キレイに撮れることを目指しました。フォトグラファー向けの製品として、AIが出してくる写真が優れているとは考えていません。

 ただしXperia 1 IIでも、オート撮影で暗所を感知するとノイズリダクション撮影モードになり、重ね合わせ技術によってキレイに撮れます。他社のように専用のナイトモードなどに切り替える必要はありません。

―― Xperiaのカメラが進化しすぎることで、ソニーのカメラ製品が売れなくなることはありませんか。

渡邊氏 画質という点では、αシリーズやRXシリーズなどカメラ製品の方が優れています。Xperiaシリーズはサブ機として常に持ち歩けるので、カメラを持っていないタイミングでも撮り逃しがありません。あるいはソニーのカメラと他社スマホを使っている方にも、αと同じ体験をしていただけます。

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