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.経済  投稿日:2020/10/1

Go To Eatで気をつけること


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・「Go To Eat」キャンペーン、10月1日からスタート。

・オンライン予約でのポイント付与とプレミアム付食事券発行の2本立て。

・飲食店が感染症対策することが前提だが、私たちも手指消毒など基本を守りたい。

 

Go To トラベル」の次は、「Go To Eat」だ。なぜ「Travel」がカタカナで「Eat」は英語のまんまなのか。そんなことはどうでもいいが、とにかく10月1日から始まる、農水省肝いりの飲食店&農林漁業者救済キャンペーンなのだ。

「Go To トラベル」から外されていた東京都だが、10月1日からキャンペーン対象になったばかり。解禁になったとたん、都内のホテルに予約殺到、とニュースでやっていたが、少々オーバーなんじゃないか?皮膚感覚だとそこまではいってないような・・・あれほど東京の事を怖がっていた他県の人がいくらキャンペーンの対象になったからといって急に旅行に来るだろうか?

なにせ英調査会社STR調べで、8月のホテル稼働率は東京も大阪も驚くなかれ20%程度なのだ。東京に限らず、これまで高級ホテルは訪日外国人旅行客でごったがえしていたが、それがほとんどゼロに近いのだからとても急回復などとは言えない。

そして東京都の新型コロナウイルス感染者も一向に減らない。9月30日の陽性者数は194人だった。

そうした中での「Go To Eat」キャンペーンだ。コロナ禍の中、本当に大丈夫なのか?と思うのは筆者だけではあるまい。

実は東京ではここのところ外食する人が少しずつ増えている印象だ。少なくとも8月よりは9月になってから人出が多くなっている。そして食事をしながら大声で話しているグループも目につく。緊急事態宣言の前後は全く目にしなかった光景だ。慣れというのは恐ろしい。自分だけは大丈夫、という気の緩みが広がっているのだろうか。

▲写真 Go To Eat キャンペーン 出典:Go To Eat キャンペーンサイト

さてその「Go To Eat」キャンペーンだが、少々ややこしい。簡単に説明すると

1 オンライン飲食予約の利用によるポイント付与

オンライン飲食予約サイト経由で、キャンペーン期間中に予約・来店をした人に、次回以降にキャンペーン参加飲食店で利用できるポイントを付与するもの。

2 登録飲食店で使えるプレミアム付食事券の発行

地域の飲食店で使える、プレミアム付食事券を各都道府県等の単位で販売するもの。

の2段構えになっている。

の「ポイント付与」は

・付与されるポイント: 昼食時間帯は500円分 / 夕食時間帯(15:00~)は1,000円分のポイントを付与(※一部オンラインサイトにおいては、一定額以上のお会計の場合にポイントが付与される場合あり)

・ポイント付与の上限: 1回の予約あたり10人分(最大10,000円分のポイント)

・ポイント付与の期間: 2021年1月末まで

・ポイントの利用期限: 2021年3月末まで

となっている。

▲図 オンライン飲食予約でのポイント付与フロー 出典:農水省

の「プレミアム付地域券」は

・プレミアム付食事券は、販売額の25%を国が負担

(例:12,500円の食事券を10,000円で購入)

・プレミアム付食事券でお支払いの際、おつりはでない

・購入制限: 1回のご購入にあたり、20,000円分まで

※エリアによっては、8,000円単位での販売となり、購入上限が16,000円分までとなる場合あり。

・販売期間: 2021年1月末まで

・有効期限: 2021年3月末まで

となっている。

▲図 プレミアム付食事券利用フロー 出典:農水省

1も2も予算は767億円、合わせて1534億円の大盤振る舞いだ。

オンライン飲食予約事業者は現時点で以下の13社。10月1日から予約受付開始。(※EPARK、EPARKグルメは10月19日から ※Chefleは10月10日から)

プレミアム付食事券は自分の住んでいる自治体のホームページなどで購入場所などを調べる必要がある。

▲図 オンライン飲食予約事業者 出典:農水省

このキャンペーンに加えて、各予約サイトは独自のプロモーションを行っている。例えば、一休.comでは会員に一休ポイント10%を付与する。(予約期間10月31日まで)予約時に使うサイトをよくチェックしてみよう。

観光旅行業、飲食業、生産者が新型コロナで大打撃を受けているのは間違いない。そうした業界を救済することは必要だが、感染が拡大してしまっては元も子もない。そのさじ加減が難しいから各国政府も悩むのだ。当然ながら、政府はキャンペーンに参加登録する飲食店には、以下の図の通り、感染症対策ををしっかり行うことを求めている。

▲図 参加する飲食店が守る感染症対策 出典:農水省

しかし、全ての店がここまで対策を徹底しているかというと、そうでもない。入店時に体温を測る店もあれば、全くやってない店もある。先に述べたように、大声で騒ぐ人もいる。

こうしたキャンペーンも感染者数が急増すれば、中止せざるを得なくなる。ワクチンも特効薬も無く、インフルエンザも流行ろうとしているこの時期、キャンペーンを続けることが出来るかどうかは結局、私たちの心がけ次第、ということになる。食事に行く私たちも、手指消毒や大声で騒がない、など基本に立ち返ることが必要だろう。

トップ写真:イメージ 出典:depositphotos


この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。

1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。

1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。

2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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