10月13日、ワールドカップラグビー日本大会でスコットランドに勝利した日本チーム。マイケル・リーチ主将を先頭にピッチを行進(写真:アフロ)

1.台風19号の爪痕と防災努力の成果

 10月12日から13日にかけて大型の台風19号が凄まじい暴風雨によって広範な地域に甚大な被害をもたらした。

 15日時点で確認された死者は70人以上に達している。突然の台風襲来により平穏な生活が一転し、苦しみのどん底に突き落とされた方々の苦悩は筆舌に尽くしがたい。

 亡くなられた方々には心よりご冥福を祈るとともに、被災地の一日も早い復旧と、被害者の方々が心の平穏を取り戻されることを願ってやまない。

 日本が高度成長期に入って以降の大きな台風や最近の豪雨などによる死者を比較すると以下のとおりである(行方不明者は含めず)。

狩野川台風(1958年9月、死者1269人)
伊勢湾台風(1959年9月、死者4697人)

九州北部豪雨(2017年7月、死者40人)
西日本豪雨(2018年7月、死者263人)

台風19号(2019年10月、死者70人以上)

 単純な比較は難しいが、かつては1000人以上の死者を出していた大型台風による被害が、最近は数十名から数百名となり、被害を少なくする努力が実を結んでいる。

 犠牲者の人数が減少したとはいえ、亡くなられた方々の尊い命は戻ってこない。その大切な命を悼み、一人でも多く被害者を減らそうという強い想いがこうした防災の成果を生んでいる。

 自然災害による被害を最小限にするため、テレビや携帯電話を通じた災害関連情報の周知と必要な防災対応策をタイムリーかつ繰り返し伝える呼びかけ、安全な避難場所の確保等準備体制の強化、堤防の建設、建築物の強化など様々な努力が積み重ねられている。