(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 今どきの中国人は「ウィーチャット(WeChat)」(中国名は「微信」)がないと生きてはいけない。中国では、今やありとあらゆるサービスをこのプラットフォームが提供する。名刺交換も、ウィーチャットのID交換にとって代わられるほどである。

 ウィーチャットとは中国IT企業大手のテンセントが提供するSNSアプリだ。アクティブユーザーは全世界で毎月10億人に上る(『2018ウィーチャット年度データ報告』)。

 ウィーチャットは、LINE(ライン)のようなチャット機能とFB(フェイスブック)のような情報発信機能を備えている。毎日450億の情報発信が行われるというチャット機能の拡散力はすさまじい。中国では、「反日ムードが友好ムードに一転したのも、このウィーチャットの力ではないか」と受け止める人もいる。

 ウィーチャットユーザーは自分のアカウントと銀行口座を紐づけることで、キャッシュレス決済も行える。テンセントが提供する「ウィーチャット支払(ウィーチャットペイ)」機能は、アリババの「支付宝(アリペイ)」とともに中国キャッシュレス決済の二大双璧を成している。

コンビニでの支払いもウィーチャットで(上海のコンビニで筆者撮影)