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 IMF(国際通貨基金)が、このままでは日本の人口が大幅に減少し、40年後にはGDP(国内総生産)が25%減ってしまうという衝撃の予測を発表した。現時点での価値に換算すると140兆円近く、GDPが失われる計算だが、果たしてこの予測は本当なのだろうか。(加谷 珪一:経済評論家)

成長率を決めるのは、資本、労働、イノベーション

 IMFは2020年2月20日、日本の経済情勢を分析する対日報告書を公表した。それによると、日本は少子高齢化という長期的リスクを抱えており、今の政策を続けた場合、40年間でGDPは25%も下振れすると指摘した(2012年から2017年並みの成長を維持した場合との比較)。

 25%もGDPが減ってしまうという内容だったことから、一部の人はショックを受けているほか、IMFの提言は恣意的であるとの批判も聞こえてくる。では25%もGDPが減るというIMFの指摘は荒唐無稽なのか、マクロ経済の原理原則に従って考えてみたい。

 マクロ経済において、経済成長を実現する要素というのは基本的に3つしかない。1つは資本、もう1つは労働、最後はイノベーションである。単純に言ってしまうと、より多くの資本と労働力を投入し、イノベーションの度合いが高いほど経済は成長する。

 しかしながら、むやみに資本や労働力を投入すればよいというものではない。

 例えば、ある企業が生産を拡大しようとする場合、人を増やすのか、設備を増やすかの選択を迫られるが、設備を2倍にすれば生産量が2倍になるのかというとそうはいかない。仮に設備を増やしても、これを動かす労働者を確保できなければ、その効果は十分に発揮されない。