都知事選の翌日となる7月6日、都庁で記者会見する小池百合子都知事(写真:つのだよしお/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 7月5日に行われた都知事選挙は、大方の予想通り小池都知事の圧勝という結果に終わった。しかし、東京をはじめ首都圏、そして全国的に新型コロナウイルスの感染がまた拡大している。

 さらに、九州地方、そして岐阜県、長野県などで大雨が被害をもたらしている。気象や河川の専門家も予想できないような雨の降り方であり、地球温暖化に伴う異常気象が影響していると考えられている。

 100人を超える新型コロナ感染者が集団発生した鹿児島県が典型であるが、日本各地で感染症と自然災害という複合災害への対応が急務となっている。東京が河川の氾濫に対していかに脆弱であるかは、私が繰り返し警告しているところであるが、4年間の小池都政で防災への取り組みはほとんど進捗していない。

日に日に増えている新規感染者数

 小池都知事は、コロナ対応を最大限に活用して再選を果たしたが、パフォーマンスの域を超えて、たとえば「東京アラート」を意味のある指標にする努力は全く行わなかった。この姿勢を続ければ、コロナが再選させた知事をコロナが追放するということになるかもしれない。

 東京都の感染者数は、7月2日が107人、3日が124人、4日が131人、5日が111人、6日が102人、7日が106人と100人超の日が続いた。8日は75人だったが、東京が減ったと単純に喜んでいる場合ではない。

 埼玉県が48人、神奈川県が23人、千葉県が9人と合計で155人であり、首都圏全体で見れば、感染は拡大しているのである。自宅は近隣の県、職場は東京という人は多い。感染状況の把握も、対策も、首都圏全体で考えなければ意味がないのである。

 そして、7月9日には感染者は224人、10日には243人と2日続けて過去最多人数を更新してしまった。小池都知事は、検査数を増やしたから感染者数も増えたのだと強調したが、これまでは検査数を同時に発表することもなく、マスコミもそれを要求しなかった。

 ただ、陽性者の数だけが一人歩きし、「昨日は○○人、今日は△△人で、××人増えた」とか「6日間も100人超」とか言って騒ぎ立てたのである。