伝統芸能に親しんで 人形芝居「乙女文楽」児童ら挑戦

 伝統人形芝居「乙女文楽」に子どもたちが取り組む教室(現代人形劇センター主催)の開催が今夏、10周年を迎えた。記念となる今年は小学5年生〜高校3年生の計13人が、人形劇団ひとみ座(川崎市中原区井田)で7月下旬から計10日の日程で、同団員の指導を受け、演技や口上をみっちり練習中。今月27日の発表会では、10周年記念として過去の修了生も特別上演や人形解説で盛り上げる。

 乙女文楽は、大正末期から昭和初期にかけて大阪で誕生。「人形浄瑠璃文楽」が1体の人形を男性3人で操るのに対し、乙女文楽は1体を女性1人で操る点が特徴。ひとみ座はこれをプロの劇団として伝承しており、同劇団ゆかりの同センターが、子どもたちにその魅力や伝統芸能に親しんでもらおうと2008年から毎夏、教室を開催。これまで約40人が修了している。

 白足袋を履いた子どもたちは、両手両足と頭を使っての人形遣い、「とざい、とーざい…」との口上などを学習。ベテランの劇団員から「(ペアとなる)2人の気持ちをそろえて演技を」「人形は間違えない。間違えるのは自分」などと指導を受け、和楽器の音に合わせて真剣なまなざしで、重さ3キロの人形を操る。

 発表会で初級クラスは、五穀豊穣(ほうじょう)を願う演目「二人三番叟(そう)」を、参加3年目以上の上級クラスの6人は、徳島藩のお家騒動に絡んだ母娘の別れの情景を描いた「傾城阿波の鳴門 順礼歌の段」を披露する。後者では例年、難しい役どころの母親は劇団員が担当するが、今年はすべて子どもたちが演技するという。

 市立今井小5年の女児(11)は「これから引っ越すので、夏休みの思い出にと参加した。人形劇はなじみが少ないが、とても楽しい」と話す。ペアを組んでいる市立新作小6年の女児(11)は「自分の頭を動かすとそのまま人形の頭が動くので、動かしやすい」と笑顔を見せた。

 同センターの担当者は、「伝統芸能を知ってもらうため、今後も教室を続けていきたい。ぜひ多くの方に子どもたちの1カ月の成果を見てほしい」と呼び掛けている。発表会は午後1時半から同劇団。入場無料だが、事前申し込みが必要。申し込み・問い合わせは、同センター電話044(777)2228。

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