弾道ミサイルを想定し避難訓練 神奈川県内初、平塚で

 災害対応力強化を目指し総合防災訓練を実施した平塚市で19日、県内初となる弾道ミサイルを想定した避難訓練がトッケイセキュリティ平塚総合体育館(同市大原)で行われた。北朝鮮が米領グアム周辺への弾道ミサイル発射と日本上空通過を予告しているとあって、近隣自治会や関係者など約200人は聞き慣れない警報音に不安な表情を浮かべながら、「まさか」に備えた。

 ことし4月に国が各都道府県向けに、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練を市町村と共同で実施するよう要請したことを受け、平塚市では毎年この時期に開催する総合防災訓練に組み込んだ。

 午前9時15分、関東近辺に向けて発射されたと想定。アラーム音に続いて訓練用の全国瞬時警報システム(Jアラート)の音声が「訓練、訓練。ミサイル発射、ミサイル発射」と体育館周辺と市総合公園内に響き渡った。

 参加者らは市職員の指示の下、窓ガラスが少なく壁面の多い体育館2階南側の客席スタンドに誘導された。「防御姿勢を取ってください」のアナウンスに従って頭を抱え、親は子を守るようにうずくまった。張り詰めた雰囲気は、「ミサイルは通過したもようです」の放送まで続いた。

 県危機管理対策課は「発射から着弾までは十数分しかない。その間にできることは限られ、近くの避難所がベストではないかもしれない。その中でも可能な限りの対応をしてほしい」と呼び掛けた。

 母と3人の娘と参加した市内在住の30代女性は「地震と違い、次に何が起こるか想定できない分怖いし、幼稚園と小学校と別々に迎えに行かなくては、などといろいろ考えた。嫌なアラーム音も二度と聞くことがないといいですね」と話していた。

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