地元企業が児童見守り 逗子市と委託休止後も無償で

 逗子市の人材派遣会社「パブリックサービス」(同市逗子)は4月から、信号機のない市内3カ所の横断歩道で、登下校時の児童を無償で見守っている。市が財政難から同社への事業委託を取りやめたが、保護者らの要望を受け、同社がボランティアでの継続を決めた。

 同社は1991年に設立。高齢者を雇用し、市から請け負った公共施設管理などの事業に派遣している。児童の安全を見守る交通整理員の配置事業は4年前から受託してきた。

 だが、財政難に苦しむ市は財源を確保するため、約150の事業を見直し、配置事業の委託を本年度からやめた。

 「新たに入学する子どもたちが心配」。保護者のこうした声があると知り、同社は「子どもたちを交通事故から守りたい」と、ボランティアで継続することを決定。これまでに積み立てた利益剰余金を活用し、平日の登下校の時間帯に、市役所前、久木小学校前、逗子ヘルス・ケア・マンション前の3カ所に社員を派遣している。

 同社の稲垣正代表取締役は「子どもたちや保護者が安心して暮らせる地域を目指し、できる限り協力していきたい」と話している。

児童だけでなく、お年寄りらの安全も見守る交通整理員(左端) =逗子市役所前

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