【相模原殺傷】「現行犯逮捕より潔いと思った」 被告、出頭の動機説明

公判が開かれている横浜地裁=27日朝、横浜市中区

 相模原市緑区の神奈川県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月、入所者と職員計45人が殺傷された事件で、殺人などの罪に問われた元職員植松聖被告(30)の裁判員裁判の第9回公判が27日、横浜地裁(青沼潔裁判長)であった。検察側の被告人質問が行われ、被告は事件後に津久井署に出頭した理由を、「現行犯逮捕されるより潔いと思った」と話した。

 被告は事件の動機について、重度障害者を安楽死させた方がいいという主張を社会に伝えるためにやったと改めて説明。事件後に自ら出頭することで、そうした動機が「伝わりやすいと思った」と述べた。なぜ伝わりやすくなるのか尋ねられると、「(自分が)錯乱していないことが(警察にも)分かるから」とした。

 さらに、襲撃前に体を鍛えていた点は「職員と取っ組み合いになると思っていた」と指摘。「職員の少ない夜勤を狙った」「女性職員のいるホームから狙った」とも語り、職員を拘束する目的で拘束バンドやガムテープを事前に購入したことも含め、周到に準備した上で決行したことを明らかにした。

 公判は事実関係に争いはなく、被告の刑事責任能力の有無や程度が争点。検察側は、犯行の計画性や事件後に出頭している点などを根拠に、被告には自らの行動をコントロールし善悪を判断する能力があり、完全責任能力が認められると主張。弁護側は、薬物の乱用による精神障害の影響で心神喪失か心神耗弱状態だったとしている。

 起訴状によると、被告は16年7月26日未明、やまゆり園に侵入し、包丁で突き刺すなどして入所者19人を殺害したほか、職員2人を含む26人に重軽傷を負わせた、とされる。

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