神奈川・収容拒み逃走、被告に懲役4年 横浜地裁判決「順法意識低い」 

 保釈後に実刑判決が確定した男が刑務所への収容を拒んで神奈川県愛川町の自宅から逃走した事件で、公務執行妨害や犯人蔵匿教唆、覚せい剤取締法違反などの罪に問われた無職の男(43)の判決公判が29日、横浜地裁であった。加藤学裁判長は「犯罪行為を繰り返しており、法を守ろうとする意識はかなり低い」として、懲役4年(求刑懲役5年)を言い渡した。

 加藤裁判長は判決理由で、「再三の出頭要請に応じなかった揚げ句、逃走を図るために犯行に及んでおり、経緯、動機は全く身勝手で酌むべき点はない」と非難。逃走後、知人の男(39)=犯人蔵匿などの罪で有罪判決が確定=にかくまうよう唆した点も「適正な捜査を妨害した犯行態様は悪質」と述べた。

 公務執行妨害罪の起訴内容のうち、被告が収容に訪れた横浜地検職員らに包丁を振り回したとされた点に関しては、職員らの証言の不一致を理由に、否認した被告の主張を追認した。

 判決などによると、被告は保釈後の昨年2月、窃盗などの罪で懲役3年8月の実刑判決が確定。同6月19日午後1時すぎ、収容に赴いた地検職員2人に「ふざけんな、早く出て行け」などと怒鳴りつけて包丁を差し向け、職務の執行を妨害した。逃走後は県内を転々とし、知人の男に依頼して同23日未明から早朝まで横須賀市のアパ-トにかくまわせた。

 公判で被告は、動機について「(収容されると)借金が返済できなくなる。妻に取り立てに行かれるのが嫌だった」と供述。さらに逃走中に使用した覚醒剤を「どうしても抜きたかった」と述べ、出頭せずに逃げ続けた理由を説明した。

 事件を巡っては、地検から近隣自治体への周知が発生から3時間以上も遅れ、住民や首長から批判が噴出した。地検は8月、原因と再発防止策をまとめた検証報告書を公表。収容態勢や手順に関する事前の検討が不足していたほか、県警が事件を公表するとの思い込みが報告の遅れにつながったとした。

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