抜け殻に環境学び18年 生きたクマゼミも捕まえたよ 

捕まえたクマゼミの標本

 神奈川県大和市の「セミのぬけがら調査」は18年続く、市民が気軽に参加できる環境調査事業。身近な生き物を通して環境の変化を捉え、自然への関心を高めてもらう取り組みだ。従来生息していなかった南方系のクマゼミの抜け殻を2013年度に初めて発見し、19年度には生体2匹を捕獲する成果も上げている。

 同調査は、当時の環境庁の呼び掛けで02年度にスタート。同市を含めて多くの自治体が環境学習の一環で応じた。セミの生息分布を継続的に調べることで、地球温暖化など国内の環境変化を考察することを目指した。

 同市では毎年度、ぬけがら鑑定士講習会を開催してボランティアの市民環境調査員を募集。幅広い世代の市民が市内の緑地や公園などで抜け殻の収集や種類の同定を行い、報告書を作成している。

 これまで市内にはアブラゼミを中心に5種類が確認されていたが、13年度に初めて西日本以南に生息するクマゼミの抜け殻1個を発見して注目された。以降は15年度を除き毎回1~3個が見つかり、地球温暖化の表れとされてきた。

 こうした中、同市下鶴間の小学2年、千光士湊君(8)が19年8月に生きたクマゼミを2匹相次いで捕まえた。クマゼミはアブラゼミより一回り大きい。鳴き声を聞いたとの報告は近年複数あったが、捕獲事例は市内では珍しいという。

 小さい頃から昆虫が好きという千光士君は「聞き慣れない鳴き声だったので、図鑑で調べてクマゼミと分かって驚いた。見つけた木は15年にマンション敷地に植栽されたものなので、幼虫が根周辺の土に付いていた可能性もある。今年の夏も調査を続けたい」と話している。 

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