阪神・淡路大震災から25年になるのを前に、神戸市中央区の人と防災未来センターで、震災時の思い入れが詰まった物を展示する「117BOX・いいなの箱展」が初開催されている。支援物資、家族の形見、手紙-。それぞれの物が語る震災の記憶や所有者の思いを共有し、25年を振り返る。一般公募の受け付けも始まり、来年の1月17日には117人分がそろう予定だ。(川崎恵莉子)
一つ一つ透明なケースに入れて展示。この箱にあなたなら何を入れますか-との問いが込められている。
人と防災未来センターの河田惠昭センター長は、ヘルメットを出品した。
京都大防災研究所の教授だった当時、被害状況を知るため被災地に毎日足を運んだ。深夜も街を歩き、被災者の声を聞き続けたという。余震など危険と隣り合わせの中、3カ月間行動を共にしたヘルメット。「被災現場に入ったあの時の感覚が思い起こされる」
神戸で生まれた復興ソング「しあわせ運べるように」を作詞作曲した神戸市東灘区の小学校教諭臼井真さんは絵本を提供した。
震災後に赴任した同市長田区の御蔵小では、新6年生が死別と転校で46人から40人に。臼井さんは学年目標に掲げていた「いつも心は46人分」をタイトルに、6年生の思いを込めた歌を作った。絵本は、歌を知った出版社が、アグネス・チャンさんの絵本「ごめんなさいがいえなくて」の登場人物を6年生たちの名前に変えて贈った。「世界に一冊しかない」絵本が心の支えになったという。
女優相武紗季さんの「この一品」はコーヒーカップだ。
宝塚市出身の相武さんは小学3年生の時に被災。祖父母、父母と姉の一家6人は無事だったが、家具が倒れて家の中はぐちゃぐちゃになった。そんな中、母親が大切にしていたコーヒーカップが割れずに残った。
「家族で家具の転倒防止や備蓄など震災の教訓を考えるきっかけに」と現在も大切に保管している。
来年2月24日まで。午前9時半~午後5時半(金・土曜は午後7時まで)。毎週月曜(祝日の場合は翌火曜)休館。同センターTEL078・262・5050