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個室で金泉を楽しめるよう、配管の工事を手掛けた旅館「御所別墅」=神戸市北区有馬町
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個室で金泉を楽しめるよう、配管の工事を手掛けた旅館「御所別墅」=神戸市北区有馬町
夏場を見越し、「元湯龍泉閣」で始まった子ども用プールの増設工事=神戸市北区有馬町
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夏場を見越し、「元湯龍泉閣」で始まった子ども用プールの増設工事=神戸市北区有馬町

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、5月6日まで休業要請の対象となっていた有馬温泉(神戸市北区)では、要請解除後も観光客が戻らず、自主的に休業を続ける旅館も多い。そんな中、休業期間を活用し、ウイルス対策のための館内設備の改装工事を進める旅館が増えている。経営者たちは「コロナでお客さんの価値観が変わった。旅館も変わらねば生き残れない」と前を向く。(西竹唯太朗)

 個室の浴槽に設置された蛇口。ひねると“金色”の湯が出て、白いバスタブにとうとうと流れ込んでいく-。

 全10棟の離れ部屋が特徴の旅館「御所別墅(べっしょ)」では、休業していた4月中に改装工事を行い、半数の計5個室の浴槽で金泉を楽しめるようにした。「人が集まる大浴場に気を使うお客さんが多いと思うので、急きょ用意した」。同旅館のオーナー、金井一篤さん(39)が力を込める。

 もともとは体の不自由な宿泊客に、大浴場を利用しなくても温泉を満喫してもらおうと始めた取り組み。今年1月に1棟のみに金泉を流し始めた。しかしコロナ禍の影響を考え、今回新たに4棟に温泉を引いたという。同旅館は休業要請の解除とともに、5月8日から通常営業を再開。平時の客数にはほど遠いが、宿泊者からは「コロナを気にしなくて済むので安心できる」などと好評だ。

 6月末まで休業を継続する予定の旅館「元湯龍泉閣」でも、夏場の利用客増を見越し、併設のプールを改築している。もともとあった25メートルプールに加え、新たに子ども用を増設。利用者の分散が狙いで、ほかにも露天風呂の壁の位置を変更するなど、営業中にはできない工事にも着手した。當谷逸郎社長(41)は「落ち込んでばかりではなく、コロナを機に旅館をパワーアップさせる、くらいの気概を持ちたい」と話す。

 全国の旅館約2400社が加盟する「日本旅館協会」によると、統計データはないが、コロナ禍で休業中に館内設備を変える旅館は、全国的に見ても増加傾向にあるという。各旅館が定期的に行う客室の改修工事にも、個室に風呂を設けるなどのコロナ対策が取り入れられる可能性が高いといい、佐藤英之専務理事は「旅館にとって本当の正念場は、コロナの収束後。各館趣向を凝らしてこの危機を乗り越えてほしい」と話している。

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