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 所属する横浜FCがJ2から昇格を果たし、今季、13年ぶりにJ1でプレーする最年長プレーヤーの三浦知良(52)。左臀部痛で調整が遅れているが、和歌山キャンプ中のインタビューでは、愛着のある神戸の街で古巣のヴィッセル神戸との開幕戦を迎えられることを喜び、ファンや友人たちとの再会を心待ちにした。(聞き手・小川康介)

 -J1に復帰して最初の相手が古巣のヴィッセル神戸に決まりました。

 「どこと開幕戦をやりたいかって聞かれたら、ヴィッセル神戸って言うだろうなって思いましたし、もちろん世界的な選手がいることもそうですけど、すごく神戸のスタジアムが盛り上がっている。J2にいても、J1の景色、映像はずっと見ていて、神戸の試合は楽しみにしていました。そういう意味では、あのスタジアムでもう1回自分たちが開幕戦を戦えると思うとわくわくします。相手がヴィッセルで良かったなと思いますね」

 -在籍当時のヴィッセルと、今は雰囲気も選手構成も違います。

 「僕がいたのは2005年までですからね。約15年たっていて、外からしか見ていないんでね、中身は分からないところもあります。僕なんかが言うのもなんですけど、組織としてもクラブとしても本当に大きく成長したというかね。今ではクラブの規模で言ったらJ1トップクラスだと思いますし、色んな意味で今やヴィッセル神戸がJリーグを引っ張っていると言っても過言ではないと思います。みなさんの努力が実になっているのではないかなと思います」

 -昨年J1復帰を決めた試合の後に「イニエスタの股を抜きたい」という話をしていました。

 「報道陣から『J1にはイニエスタ選手もいますし、どうですか』って聞かれて。その返しでちょっと失礼かなと思いましたけど、まあしゃれとジョークだということで(笑)。まあでも、そういうフレーズも僕らエンターテインメントですからね、面白いと思います。当然、僕としてはまだピッチに立てるかどうか分からない。メンバー入りしなければ神戸へすら行けませんからね。どうやってアピールして、どういう結果を残してメンバー入りしていかなければいけないか、本当に考えるところですよね。横浜FCに来て15年たちますからね、非常に愛着のあるクラブになりましたし、そのチームが今のヴィッセル神戸とこのタイミングで開幕戦を迎えられるというのは幸せですね」

 -ヴィッセル神戸との対戦が決まり、神戸の友人とも連絡は取ったのですか。

 「取ってますよ。みんなびっくりして喜んでましたけど、俺が行かないことにはね。身内みたいなものなので。別メニューでも、当然、焦らずにね。開幕も楽しみですけど、シーズンは11、12月まである。しっかりそこを戦えるようにしていかなければいけない。やれること、やることは変わらないんでね。自分が今までやってきたことの積み上げでしかない」

 -年齢が52歳から53歳になります。誰も経験したことのない50代でのJ1に向けての準備はどんなものですか。今、変わらないという話はありましたけど。

 「変わらないですよ。J1に向けての特別な練習はないですし。ただね、J2よりもレベルが高いですから、そのレベルの高いところで今のうちがしっかりチームが目標に掲げているトップ10、10位以内を成し遂げるには相当努力していかなければならない。去年の積み上げから、さらに積み上げていかないとその数字には到底届かない。やっぱり急にはうまくはならないですから。ただ、意識というものを変えていく、高く持つ。うぬぼれるわけでもなく、なんていうんですかね、油断するわけでもなく、軽く見ているわけでもなく、自分たちの気持ちだけはね、戦う準備をしっかりして、毎日の練習をしっかり高い意識を持ち続けることが大事じゃないかなと思いますね。その意識だけで人間というのはだいぶ変わりますから。今の下平監督は基礎の練習も多いですけど、その基礎も無駄にしてはいけませんね」

 -50歳と52歳で随分身体的な違いは出てくるのか。

 「違うと思いますね。そんなすごく違うかっていうと、30代の時と今の違いよりはまだ小さいですけど、1年1年違いますよ」

 -ケアの時間も長くなります。今はどのぐらい時間を取っているのですか。

 「練習前に1時間は必ず取っている。午前、午後練習があったら2時間は必ず取っていますし、このインタビューとチームのミーティングが終わったら、また2時間やります。ケアを。練習が終わった後の足首のアイシング、ストレッチ、交代浴、それも1時間近くやりますからね。もっとやるかなあ」

 -サッカーを続けていくという強い気持ちがあってのことだと思いますが、突然(現役が)終わるかもという怖さみたいなものは持っているのですか。

 「ありますよ。常にありますよ。急にプレーできなくなるようなけががあるかもしれないし、気持ちが折れたら終わりだし。あっ、でも気持ちは折れないね。。(現役を続ける)理由なんかないでしょ。カズのまま死ぬって言ってんだから。って言ってもまあね、なかなか(カズのまま)死にたくても死ねないよね(笑)」

 -毎年10代の選手が新たに入ってきて、30歳以上年齢が違う選手とレギュラー争いをしています。

 「そりゃ大変だよね。喜びを感じながらやっていますよ。こんな経験できないからね。幸せだよね。神戸の時だって38歳で『いつまでやるの?』って言われててね、あれからもう15年ですよね。10代、20代、30代、40代、50代、昭和、平成、令和ってね」

 -新しい国立競技場のピッチにも最初に立ちました。

 「まあね、ずっと言っていますけど、芝生の養生した人が一番最初に入っていますよ(笑)。僕は2番目って言ってるんですよ。まあ名誉なことでね。その後でヴィッセルがあそこで(天皇杯)優勝して、良かったなと思いますよ。これからがまた大変ですよね、ヴィッセルも。上に立った時に、また難しさってあるしね。でも優勝することでまたクラブというのは変わりますからね。優勝する大切さは、決勝に行くとよく分かる。決勝行って負けたら負けたで、負けると意味がないんだって初めて分かるんですよ。そうすると、またクラブって強くなるものなんですよ。2位じゃだめなんだ。記憶に残らないんだ、って。優勝チームだけがカップを掲げられる。それを見ているむなしさってね。行ったことがなかった時は決勝に行けば満足なんだろうなと思っているんですよ。でも行ってみたら悔しいのがよく分かる。また成長するんですよ。勝ったら2度とここから降りたくないと思うんですよ。僕らヴェルディの時もそうでしたけど、今だと鹿島や横浜M。優勝経験のあるチームは強いですよ」

 -ヴィッセルも25年かかってようやくタイトルを手にすることができました。

 「天皇杯を取ることでようやくACLという舞台に挑戦できるわけですから大きいし、こうなってくると余計にイニエスタら世界でタイトルを取ってきた人たちの経験が生きてくる、大きな力になってくる。そういう舞台が増えれば増えるほど、大きな舞台になればなるほど、ああいう人たちは強いですから」

 -1月17日に取材に応じ、阪神・淡路大震災について触れていました。神戸でプレーしていた時は復興を意識しながらのプレーだったと思います。

 「そうですね。そう考えてみると、あの時って震災から10年しかたっていなくて、それでも見た目は綺麗になっていました。でも、街の人と触れ合ったり、僕の友達なんかもそうですが、震災を経験した人たちの話を聞いたりすると、やっぱり心の痛みは残っているんだなっていうのを感じましたね。その後の東日本大震災もそうですし、みんなが助け合う、協力して復興するという気持ちを持てるようになったのは、25年前の神戸の震災があってからなんです。よくね、風化していってしまう、それを悪いふうに受け止めるかもしれないんですけど、もちろん当事者たち、両親、子供を亡くしたとか、東日本大震災の時もそうでしたけど、人間って忘れなきゃ生きていけないんですよ。絶対に。世の中、風化していくというのは仕方のないところもあるじゃないですか。でも、この1月17日があるから、みんなが思い出して立ち戻る。謙虚になれるというかね。でも、それを毎日思いながらは暮らしていけない。忘れていくというのも必要だし、人間は忘れる生き物なんですよ。神戸の大震災『ボランティア元年』って言われる。あれからちゃんとしたNPOとかがたくさんできて、神戸が震災に遭った頃は、まだ個人がなんかしたいということでみんな集まってきていたけど、今は団体でね。みんな自然災害への意識が高まったし、あの経験があったから救われている人もいる。みんなが教訓を生かしているんだなって思います」

 -J1昇格を決めた後に神戸に来ていましたね。

 「(自分にとって)幸運を呼ぶ街って言われていますからね。イチローさんにに会いました。明日(草野球の)試合ですって言ってね。俺も行きたかったんですけどね。迷惑を掛けると嫌だったから。本当は行きたかったんですよ、神戸にいたから」

 -イチローさんが引退して最初の年でした。どんな話をしましたか。

 「イチローさんみたいな人に掛ける言葉って難しいじゃないですか。『じゃあとりあえずお疲れさまでした。乾杯!』って言ったら、『なんか、とりあえずってあれだなあ。アバウトだなあって』って言われたねえ。元気そうでしたね、すごく」

 -現役を続けてほしいという思いは話したのですか。

 「それも失礼かなって思うしね。でも僕はマリナーズに戻った時にも会っているんですよ。神戸に来る時はだいたいイチローさんもシーズンが終わって帰ってきているんですよ。あの時もマーリンズから離れて、次のチームが決まるのが遅かったじゃないですか。あの時にイチローさんの覚悟にびっくりしましたね。(米大リーグで行く先が)なければ自分はもう辞めるっていう覚悟でいたみたい。僕はイチローさんはそうじゃないって思っていたんで。メジャーがなければ、カテゴリーを下げてでも、日本じゃなくても中南米のメキシコとか、野球の盛んな国ってたくさんあるじゃないですか。メジャーの下のクラスでもどこでも独立リーグでもなんでも続けるのかなって思っていたんですよ。僕個人の意見としては続けてほしいっていうかね。僕自身はカテゴリーを下げたとしてもどこでも続けたいというのがあるので。イチローさんはそうではなく、メジャーが最低であり、メジャーが最高って自分の中で決めてね。そうじゃなければ辞めるという覚悟があって、俺は自分は甘いなって思いましたもんね。イチローさんにはあの時すごみを感じましたよ。あそこまできっぱり決めているんだなって。最低でもメジャー、最高でもメジャーってね」

 -そういう話を今回はしたのですか。

 「しません、全く。何かのインタビューで言いましたけど、イチローさんには直接は言っていないんですよ。でも、飯食ってるところではだいたいそんな感じじゃないですか。いつか、します」

 -今季の個人的な目標は。

 「試合に出て、活躍して、ゴールを決めて、夏の移籍マーケットでヴィッセルに移籍する。冗談だよ(笑)」

 -神戸のファンに向けてのメッセージをお願いします。

 「ねっ、メンバー入りしないとね。本当に。もう今から自分で新幹線の切符を取っておこうかなって思った。今でも年間3回ぐらいは神戸に遊びに行っていますからね。続けてますからね。去年も3回行ったかな。そういう意味では今年はプライベートじゃなくてね、試合に行けたらいいなと思っていますね。もちろんヴィッセル神戸のサポーターにも会いたいしね、スタジアムで。神戸市民の人にも神戸大使として会いたいし。まだ引き続き(大使を)やっていますからね。本当に今年は神戸に来る機会が、ルヴァン・カップも勝ち進めばまた来るかもしれないし、天皇杯でも勝ち進めば会えるかもしれないし、リーグ戦もカップ戦も含めて神戸に来る機会が仕事で多くなったらいいなと思っています。僕のファミリー、女性陣も待っていますからね。楽しみにしています」

 -カズダンスは。

 「(ゴールを決めて)する機会も得ないとね。頑張ります。舞いたいと思います」

【動画後編】「キング・カズ」インタビュー J1神戸と対戦へ

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