福祉業にまつわるブラックな話 月収15万円だった現役介護士の僕(4)

#くらし   

ブラックな労働から目を背けるな


福祉業は、以前から労働環境の悪さが問題になっています。

「サービス残業(持ち帰りの仕事)が多い」「給料が低い」「休みが少ない」。

いわばブラックな職場がとても多いです。

働き方改革が叫ばれている中で、「どんなときも全力を尽くして顧客にサービスを提供する。それがプロだ!!」という精神論で、ブラックな労働を美徳とする文化があります。

僕が地方の介護施設で正社員として働いていたときは、残業代が発生しない会議や行事イベントに強制参加させられることがありました。

定時で帰った職員がいると、他の職員が悪口をいったり、翌日に管理者が「何で帰ったんだ!」と怒鳴る場面も見てきました。

恐ろしいことにブラックな労働環境で働いていると、異常な光景に慣れていきます。そして、暗黙の了解として悪い風習が構築されていきます。僕も職場で嫌われたり怒られることを恐れて、その風習に従うしかありませんでした。

残業代が出たのは研修のときぐらいで、「研修や指定された残業以外の時間で時間外の申請を出してはいけない」という風習でした。

しかし、残業しないと終わらない業務量だったし、その業務をこなさないと、利用者たちの生活に大きな支障をきたすため、時間になっても帰れないことがほとんどでした。

ブラックな精神論。定時で帰ると悪口や怒鳴られたり…


保育士時代はさらにひどく、すべての職員が1日2時間以上のサービス残業をしていました。それでも仕事は終わらず、家に持ち帰って仕事をすることも多くありました。また、規定されている1時間の休憩時間を満足に取れたことはなく、その休憩中も多くの保育士が働いていました。

これらのことは福祉業界で働いている人からしたら、当たり前の光景です。しかも福祉業の労働環境は改善されるどころか人手不足が進んでいます。各職員の持つ仕事量が増えると、サービス残業が増える。すると、対応ができなくて退職する人が増え、さらに人手不足が進み仕事がきつくなる……。この負のサイクルが多くの福祉施設で起こっています。

僕が今まで働いた施設でも、1年の間に複数人は体調不良が原因で退職しています。はっきりいって、僕が見てきた福祉関係の仕事においては「正社員=安定」という構図はどこにもありません。多くの職員が忙しい日々に疲弊して、体も心もボロボロになっていました。

責任の重さに見合わない待遇


福祉業は人の命を預かる仕事で、その責任の重さは他の仕事と比べてレベルが違います。

その気になれば人の命を簡単に奪うこともできてしまうし、ひとつひとつの行動がその人の命に直結します。

介護職や保育士のような福祉の仕事に携わる人がいないと、この国は崩壊します。

【画像】在宅介護での介護疲れで、虐待や殺人も実際に起こっています


子どもを産んで育てるにも、保育所が足りなかったら、母親は仕事復帰することができません。

親の介護が必要になった場合も、介護施設が足りなかったら、仕事を辞めて在宅介護をしないといけなくなります。

すると困窮する家庭が増え、挙げ句の果てには児童虐待や介護虐待などの事件にもつながりかねません。

実際に、介護施設に入れることができずに在宅介護を余儀なくされて、虐待に至ったケースも多く、介護疲れの末に殺人に至ってしまった報道も数多くありました。

2019年11月福井県敦賀市で71歳の女性が、夫と義理の両親の3人を殺害した事件がありました。

被害者の3人は介護が必要な状態で、たったひとりでの介護に心労がたまり、殺害に至ってしまったという痛ましい事件でした。この家族が施設入所をしなかった理由はわかりませんが、在宅介護による介護疲れの末に、虐待や殺人に至ってしまうというケースは、非常に多いのです。

福祉の仕事は、多くの国民の生活を守り、治安を維持する役割があります。

そんな仕事の給料の多くが「手取り15万円」というのは、利用者の命も軽く見られていると思いますし、国や施設の危機意識が低いと、感じざるを得ません。

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