新年の抱負というのは、実現しない確率が高く、年の終わりはいつも祝うどころか失望感にさいなまれるという人も少なくありません。そこで今年は、気負いを感じてしまう抱負に代えて、前向きなマイルドバージョンを試してみませんか?

抱負ではなく意向を決める

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新年の抱負が思い通りにならないのは、目標達成を「オール・オア・ナッシング(全か無か)」でとらえているからです。人生を良い方向に変えるにあたって大事なのは、最終結果ではなく、過程です。部屋づくりのアドバイスサイトApartment TherapyのJessica Estrada氏が、抱負ではなく意向を固めることにしたのも、そのためです。

意向は、はっきりしない未知の将来ではなく、今この時の気持ちです。結果の合否ではなく、どのような過程をたどるかが焦点となります。たとえば、減量したければ、「10ポンド痩せる」という目標を設定する代わりに、もっと体を動かすとか、もっと栄養を意識する、といった心づもりをするのです。毎日「今日はどうやって運動量を増やそうか?」とか「今日はどうやってよりヘルシーな食事を摂ろうか?」と自分に聞きましょう。あなたが目標としている変化は、後からついてくるでしょう。また、毎日一から始めるので、挫折感を感じることも少なくなるはずです。そして、万一失敗したり、脱落するようなことがあっても、自分を許し、翌朝仕切り直すことができるでしょう。

今年のテーマかフォーカスワードを選ぶ

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自分の求める変化を遂げるには、数値目標は一切やめ、今年のテーマか「フォーカスワード」を選びましょう。たとえば、お金のアドバイスブログ「MoneyNing」のMiranda Marquit 氏は、「成長」というテーマを選びました。目指したいマイルストーンがあるわけではなく、「毎日の生活の中で自分がどう成長できるか?」と自分に問い続けることだけをしています。また、女優のゾーイ・サルダナは、周囲にもっと自分の気持ちをさらけ出すようにしたいと決め「オープン」をテーマに選びました。

テーマは便利です。「もっと良い母親になろう」とか「やさしい人間になろう」というような抽象的な目標をもっている場合、なかなか数値で示したり、成果を追ったりすることができないからです。たとえば、物事にすぐ腹を立ててしまう人なら、「やさしさ」とか「理解」といったシンプルなテーマを掲げてもよいでしょう。先の大統領選の結果に開いた口が塞がらないというなら、今年のテーマを「視点」にし、反対意見を排除する態度をやめて、物事がなぜそのような状況なのかについて理解を試みる、などということもできます。テーマにした言葉を印刷するか書くかして、コンピュータ画面の縁や、ドアの上、洗面台の鏡など、見えるところに貼っておきましょう。今年のテーマを常に思い出させてくれます。

人にコミットする

 

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改善の対象は、あなた自身とは限りません。自分を変える一番の方法は人の助けになること、というケースも実際よくあるのです。セレブファッションのブログ「Who What Wear」のMeghan Blalock氏は、自分の目標をつくる代わりに、誰かにコミットすることを提案しています。芳しくない状況にある友達や、たいへんな思いをしている家族を対象にしてもよいですし、近所のコミュニティセンターや無料食堂などでボランティアを始めるのもよいでしょう。

人へのコミットというのは、献身的に奉仕することに限りません。『The Path to Wealth(富への道のり)』の著者、May McCarthy氏は、あなたが達成しようとしていることをやり遂げた人とつき合うことを提案しています。

(あなたの目標を達成した人と付き合うこと)によって、テクニックの練習ができる、達成したらどんな生活になるのかを垣間見ることができる、レベルアップの疑似体験ができる、といったメリットがあります。

あなたが目標とすることですでに成功した人を目の当たりにすれば「この人にできるなら私にもできる」と思えるようにもなるでしょう。

新年のフォーカスを他者に当ててみると、意外なほど自分が成長できる可能性があるのです。

去年のハイライトを振り返り、今年のハイライトを予想する

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何かを大きく変える必要性を特に感じていない人もいるでしょう。それでなんら問題はありません。すでに軌道に乗っているならなおさらです。ただやはり、新年を、成功への道のりの節目ととらえるのはいいことです。心理学のウェブマガジン「Psychology Today」のKelly McGonigal博士は、前年のうれしかったことや成功を振り返ることを勧めています。困難を乗り越えたときのこと、問題を解決したときのこと、勝利を収めたときのことを考えてみましょう。また自分がどんな努力をしたかも振り返り、頑張った自分を認識します。そうすることで、今年もさまざまなことに対処する意欲がわいてくるはずです。

その上で、じっくり考えて今年のハイライトになりそうなことを5つ挙げてみましょう。どんなに小さなことでもかまいません。好きな番組の新エピソードでも、旅行でも、新しいゲームでも、なんでもけっこうです。ただし、実現がほぼ確実なことにしてください。たとえば、昇給などは、うれしいことではありますが、もし実現しなかったらがっかりです。ですから立派な目標を考える必要はありません。去年を振り返って自分のすばらしさに気づき、今年もすばらしい年になると思い描きましょう。

1カ月ごとの小さな目標を考える

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どうしても、数値で表せる測定可能な目標をもちたい人は、簡単な目標にします。抱負を実行可能な単位に小分けしたら、もとの抱負はゴミ箱に捨ててしまいましょう。

たとえば、私の大きな目標の1つに日本語の習得があります。とてつもない計画です。ですから私は、そのプロジェクトを手が付けられそうな規模に細分化しました。当面の目標は、日本語の文字の一種、ひらがなを1月末までに覚えることです。そして次は、2月末までにカタカナを覚え、春には語彙に着手して......という具合に進めていけば、いずれは「日本語の習得」が実現すると見込んでいます。年末までにというのは無理かもしれませんが、目標に向かって、進歩しているなら、そんなことは関係ないのです。

Patrick Allan(原文/訳:和田美樹)

Photos by greg westfall, Colleen McMahon, SJU, Jrwooley6, Ferrous Büller.