「苦手なタイプだな…」「波長があわないな…」と、ちょっとストレスになる。職場にそんな人はいませんか?
今回は、あらゆるタイプの人にあわせるグローバルスキル、「ソーシャルスタイル」を紹介します。
ソーシャルスタイルとは、1968年にアメリカの産業心理学者デビッド・メリル氏が提唱したコミュニケーション理論で、人のコミュニケーションパターンを4分類し、適切なコミュニケーションを選択するというものです。
ポイントは、「相手(各タイプ)のルール」に合わせたコミュニケーションをすることがベース。とてもわかりやすく、実践的なメソッドです。
今回は、私が研修や本、Youtubeでも紹介するほどに入れ込んでいるグローバルスキル「ソーシャルスタイル」を紹介していきます。
苦手な「あの人」はどのタイプ?
ソーシャルスタイルとは
下の図のように、ソーシャルスタイルは「感情」「自己主張」の大小によって、「ドライバー」「エクスプレッシブ」「エミアブル」「アナリティカル」の4つのタイプに分類されます。
上の表以外にも、こちらのチェックリストから自分自身がどのタイプにあてはまるかも確認することができます。
(4つのタイプに加えて「バランス型」と出てくることがありますが、中心傾向のタイプになります。)
簡単に4つのタイプの特性を解説していきます。
ドライバー(合理的に目的を達成させたい人)
- 感情(表情)は出ない。早口で淡々と自分の意見を言う
- せっかちで負けず嫌い。目的のためには、厳しい判断も辞さない
例:ビートたけしさん
エクスプレシッブ(自分が注目されたい人)
- 感情(表情)は出る。ジェスチャーが大きく、明るい雰囲気でよくしゃべる
- ノリを重視する。注目されたい。新しことや話題性のあることが好き
例:明石家さんまさん
エミアブル(みんなの気持ちを大事にしたい平和主義の人)
- 感情(表情)は出る。自分が話すよりも、和やかに人の話を聞く。気を配り、配慮を大事にする。
- 人の気持ちや全体の調和を重視。平和志向
例:小堺一機さん
アナリティカル(理屈や分析を大事にする人)
- 感情(表情)は出ない。口が重く、言葉数が少ない。じっくり考えることが好き
- データや情報を分析し、独自の見解を持つことが好き
例:タモリさん
いかがでしょうか? あなたの苦手な「あの人」はどのタイプかわかりましたか?
もちろん、人の性格を4つに分けることはできませんが、ソーシャルスタイルはコミュニケーションの癖を4つに分類したものですので、癖の強弱はありますがいずれかのタイプに属すると考えられます。
「相手のルール」に合わせた会話のコツ
それでは早速、苦手な人のルールに合わせた会話術をチェックしていきましょう。
各ソーシャルスタイル別の会話のコツを紹介しますので、参考にしてみてください。
ドライバーとの会話
▼ポイント:ビジネスライクで明確なコミュニケーションが喜ばれる
1. 明確さが大事! 結論から伝える
結論から話し、その後に理由・具体策を伝える
2. 勝負事に負けん気を出す
勝つことが大事なドライバーは、負けん気を高く評価する傾向がある
3. 選択肢を示す
自分で決めたいと考える傾向があるため、提案をする時は2~3つ選択肢を提示し、選んでもらう
エクスプレッシブとの会話
▼ポイント:共感を示しながら、話を簡潔にすると喜ばれる
1. 言うことがコロコロ変わるので、迅速に済ませる
関心が変わりやすいため、重要なことは気が変わらないうちに済ませる
2. ノリを大事にしながらも、話を要約して確認する
話が脱線しがちなため、ノリを大事にしつつも「さすがですね。こういうことですか?」と確認する。
3. データを淡々と語らない
データはあくまで参考程度。データを語るより、注目される可能性や話題性を語ったほうが効果はある
エミアブルとの会話
▼ポイント:にこやかに穏やかな雰囲気で会話をすると喜ばれる
1. 1人で決めるのが苦手。選択肢を示すのではなく、相談にのってあげる
「差し支えなければ、一緒に考えましょうか?」と相談相手になると◎
2. 対応が遅い場合は、何か問題を抱えていないか確認する
「わかった」と言いながら、返事を先延ばしにする傾向がある。ルーズととらえるのではなく、なんらかの問題があることを疑い、まずは問題を聞いてあげる
3. 会話にゴールを求めなくてもOK
共感する時間に価値がある。時には話し相手になるだけでもOK
アナリティカルとの会話
▼ポイント:じっくりと、相手が納得するまでの過程を大事にしてあげると喜ばれる
1. 沈黙は考えを整理する時間。急かさずに待ってあげる
頭の中で整理しているだけなので、沈黙のままでよい。思案中と考えよう
2. 納得を得るために、前例やデータを示してあげる
アナリティカルは自分の見解を得ることがとても大事。データがなくとも、近い事例を示す
3. デッドライン(締切)を決めておく
物事に時間がかかることが多い。デッドラインを決めておくことが重要
さて、まとめましょう。あらゆるタイプの人とうまくやるカギは、相手のルールで考えること。その実践スキルこそが、「ソーシャルスタイル」なのです。
自分だけではなく、部下や同僚、さらには上司にソーシャルスタイルを広めやすいのもこの理論の特徴。
職場全体のコミュニケーション力を高めることもできるでしょう。素敵な職場になること間違いなしです。
もっと詳しく知りたい!という方は、らしさラボのソーシャルスタイル研修やYouTubeチャンネルもぜひチェックしてみてくださいね。
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伊庭 正康 株式会社 らしさラボ 代表取締役
リクルートグループ入社。残業レスで営業とマネジャーの両部門で累計40回以上の表彰を受賞。その後、部長、社内ベンチャーの代表を歴任。2011年、株式会社 らしさラボ設立。リーダー、営業力、時間管理等、年間200回以上の研修に登壇。リピート率は9割以上。近著、『メンバーが勝手に動く最高のチームをつくる プレイングマネジャーの基本(かんき出版)』『計算ずくで目標達成する本(すばる舎)』『できるリーダーは、「これ」しかやらない: メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ(PHP研究所)』『仕事の速い人が絶対やらない段取りの仕方』(日本実業出版社)』『数字を上げる人のセールストーク・営業のキホン(すばる舎)』等多数。
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