子どもたちにメディアリテラシーを身につけさせることは、かつてないほど重要になっています。
今や、フェイクニュースの見分け方を教えるだけでは十分ではありません。子どもたちが真のメディアリテラシーを身につけるには、単純な事実確認よりも、はるかに高度な戦略を学ぶ必要があります。
また、ニュースがどのように集められ、伝えられているかを考える必要もあります。
大人でさえ危ういニュースの見極め力
事実に基づく正確なニュースを探し、フェイクニュースではないと判断する方法を子どもたちに教えるとなると、親は苦労するかもしれません。
というのも、多くの大人でさえ、そうした能力に十分な自信がないからです。
AP通信とNORCアメリカ全国世論調査センター(Associated Press-NORC Center for Public Affairs Research)が共同で行なった最近の世論調査では、米国の成人の半数近くが、自分の出くわした情報が事実かどうかを判断するのは難しいと考えていることがわかりました。
けれども、いくつかの重要なポイントをおさえておけば、個々のニュースの公平さ、正確さ、偏見に関する手がかりを親や子どもが吟味することができます。
1. 公平性は「同等であること」ではない
若いジャーナリストは、「双方の立場を取りあげて偏見のない報道をしろ」とことあるごとに教えられます。
選挙に関する記事であれ、安売り量販店の新規出店を認可するかどうかの議論であれ、学校の予算削減問題であれ、記者は誰の意見にも偏ることなく、双方の主張する事実を伝え、読者やリスナー、視聴者がそれぞれの結論を出せるようにすることを期待されます。
ただし、米国アイダホ州にあるボイシ州立大学でジャーナリズムを教えるSeth Ashley教授が「The Conversation」で述べているように、場合によっては「双方の立場」を同じように扱うべきではない時もあります。
どれほど優れたニュースであっても、ニュースは現実を反映するものであり、現実そのものではありません。
ニュース制作者が、ある出来事について「双方の立場」を取りあげようと躍起になると、片方だけが確かな証拠によって裏付けられている地球温暖化のような問題を扱う場合に、誤った等価性を作り出してしまう恐れがあります。
バランスにこだわりすぎると、どんな場合であっても同等の重さを持つ2つの対立する見解が存在すると伝えることになってしまうのです。
たとえ実際には同等の重さを持ってはいない場合であっても、です。
特に、一方が実証的な根拠に裏付けられていて、他方がそうではない場合には、双方について単純に平等に伝えることは事実を正確に反映しているとは言えません。公平さが、常に等価であることを意味しているわけではないのです。
子どもたち(そして大人たち)は、ジャーナリストが複数の見解を平等に扱おうとするあまり、正確性が損なわれていないかどうかを考える必要があります。
2. ニュースが作られる過程を考えてみる
どんなニュースでも、その背後には誰のインタビューを記事にするか、どの事実を盛り込むか、そしてそれらをどの順番で伝えるかを決定する人間がいます。
異なる2人のジャーナリストに同じ出来事について記事を書かせたら、異なる2つの記事ができあがるでしょう。
これは必ずしも、どちらか一方が正しく、もう一方が間違っているという意味にはなりません。しかし、情報の伝え方次第では、読者が異なる結論を出す可能性もあります。先述したAshley教授は次のように説明しています。
ニュース記事は、私たちのものの見方に影響を及ぼすように構成されています。
たとえば選挙のときなどは、選挙を競馬のように報道する記事が増えます。世論調査やスキャンダルといった狭い範囲に焦点が絞られ、実際の政策についての報道は軽んじられてしまいます。2016年の米国大統領選でもそうでした。
報道のフレームワーク次第で、少数派に対する誤った報道が行われ、有害な固定観念を作り出して植え付けてしまう可能性もあるのです。
子どもと一緒にニュース記事を読んだりテレビのニュースを見たりするときには、その制作プロセスについて話し合い、質問するようにしてみてください。
たとえば、インタビューを受けた(または受けなかった)のは誰か、別の伝え方があるとすればどのような形か、といったことです。
大事なことが欠けていないか、特定の論点が強調されすぎていないか、子どもたちの考えを尋ねてみましょう。
3. 複数のソースを比べる
子どもたちは、私たち大人をよく見ています。
子どもたちがニュースや政治問題に関して何か疑問を持った時には、複数のソースの報道を調べるようにしましょう。普段ならあなたが読まないであろうものも調べてみましょう。
そうすれば、同じ話題でもソースによって伝え方が大きく異なる場合があることを示すことができます。
自分の先入観(とコンピューターアルゴリズム)にとって都合のいい情報ばかりを集めてしまう「確証バイアス」を避けるように、子どもたちに教えることができます。
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Image: Shutterstock
Source: AP News, The Conversation, VerywellMind
Meghan Moravcik Walbert - Lifehacker US[原文]