リモートワークで活動量が極端に減った…という方、多いんじゃないでしょうか。

いまのところ「体が重い…」くらいの弊害しか感じないかもしれませんが、長い目で見ると身体活動(生活活動+運動)量とその強度を考慮することにはもっと大きな意義がありそうです。

ちなみに、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準 2013 」によれば、奨励される身体活動基準は

・18~64歳:3メッツ以上(歩行またはそれと同等以上の身体活動)の強度の身体活動を毎日60分

・65歳以上:強度を問わず、身体活動を毎日40分

となっています。

もちろん、単に身体活動量を増やすだけでも健康にとって有益ですが、身体活動の強度を意識することで、プラスして恩恵が得られるかもしれません。

今回はその一端を示した研究結果をご紹介します。

子どもの頃の身体活動が骨を強くする?

ブリストル大学の研究チームは、母子の発達を長期追跡した研究プロジェクト「Avon両親・子ども縦断調査研究(ALSPAC)」で収集したデータから、12~25歳の参加者約2600人分の身体活動量を分析。

結果、以下のような傾向が明らかになりました。

  • 中~高強度の身体活動に費やす時間が長いほど、25歳のときの股関節の骨量が大きい
  • より若い時期が重要(この研究では12歳で影響が最大)
  • 特に、ジャンプ運動を伴うようなハイインパクトな身体活動が骨量の増大に影響

骨量は20~40代なかばにかけて最大になり、これが晩年の骨粗しょう症や骨折のリスクマーカーとなります。

つまり、子どもの頃に中~高強度の身体活動をたくさん行うことで、晩年の骨折リスクを減らせる可能性があるんです。

中強度以上の身体活動は死亡リスクを下げる

一方で、中年以降も中強度の身体活動量を意識する必要がありそうです。

ケンブリッジ大学の研究チームが、英国バイオバンクから、中年成人約9万6000人分のデータを抽出して分析しました。

その結果、1日の身体活動量だけでなく、中強度以上の身体活動量の割合が、向こう3年間の死亡リスクと関連していたようです。

中強度以上の身体活動量の割合が総身体活動量の10%のとき、

  • 1日の身体活動量が20kJ/kgの人の死亡率は、15kJ/kgの人の約1/3
  • 1日の身体活動量が30kJ/kgの人の死亡率は、15kJ/kgの人の約1/2

※ 1kJ ≒ 0.24kcal

※体重(kg)×身体活動量(kJ/kg)=消費エネルギー量(kJ)

なお、1日に35分間の散歩(うち2分間は早歩き)を追加するだけで、15kJ/kg→20kJ/kgとなるようです。

一方、中強度以上の身体活動量の割合が30%になると、

  • 1日の身体活動量が30kJ/kgの人の死亡率は、15kJ/kgの人の約1/4

になります。

1時間の散歩と35分間の早歩きを行うことで、15kJ/kg/日と中強度の身体活動10%が上乗せできるとのことです。

ちなみに、30kJ/kgを馴染みのあるkcalに変換(1kJ ≒ 0.24kcal)すると、体重70kgの人で504kcal。

e-ヘルスネットによれば、身体活動によるエネルギー消費量は総エネルギー消費量の約30%とのことなので、1日の総エネルギー消費量は1680kcalとなります。

ウェアラブルデバイスが活用できる!

研究結果は、1日の身体活動量を増やすと同時に中強度以上の身体活動を追加することの重要性を示しています。

身体活動の強度を意識するには、ウェアラブルデバイスを活用する手があります。

実際、上記でご紹介したケンブリッジ大学による研究は、特殊なウェアラブルデバイスを活用することで、これまで追えなかった細かな身体活動までを分析できるようにしたのです。

一般に売られているウェアラブルデバイスでも、たとえばApple Watch Series 5なんかは、総エネルギー消費量のほかにワークアウト時のエネルギー消費量や、早歩き以上の運動時間を記録してくれます。

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ほかにも、Fitbit Versa 2からMiスマートバンド4まで、ワークアウト時のエネルギー消費量を測定してくれるウェアラブルデバイスは多いです。

お手持ちのウェアラブルデバイスの機能を利用して、日々の身体活動に反映させることが健康増進の近道になりそうです。

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Image: Goran Bogicevic/Shutterstock.com

Source: University of Bristol, UKRI, 厚生労働省, e-ヘルスネット