元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書』(吉田尚記 著、アスコム)の著者は、人と話すのが苦手だという自覚を持ちながらアナウンサーとなり、以後20年にわたってキャリアを積み上げてきたという人物。

過去にも著作があり、続く新刊を出すのであれば実現したいことが2つあったのだそうです。

ひとつは、コミュニケーションの専門家に取材をしてアドバイスをもらうこと。自身がやってきた我流のコミュニケーション術について、学術的な見解を聞いてみたかったというのです。

そしてもうひとつは、コミュニケーションを苦手としている人たちに会って、どんな悩みを抱えているのか、「どういう困り方」をしているのかを聞いてみること。

つまり、それを形にしたのが本書なのです。いわば著者自身が得た技術、専門家の意見、集まってきた方々の経験が融合された内容。そのため、どのテクニックもすぐに活用できるはずだといいます。

第3章「今日から使える! 会話がしんどくなくなる話し方・聞き方の武器24」のなかから、2つの例をピックアップしてみましょう。

会話のパスをうまく返せないときは?

悩み1 会話のパスを うまく返せず 頭がまっ白になる

武器1 相手の言葉を 「オウム返し」すれば 会話は続く

会話のパスがきたとき、いちいち返し方を考える必要はないと著者は主張しています。相手の発言の一部、またはほぼ全部でもかまわないので、そのままいい返してみればいいというのです。

最初は機械的でもOK。なぜならオウム返しをすることで、相手の話に関心を示し、その先を聞きたいという意志を伝えられるから。

簡単すぎるようにも思えますが、思っている以上に会話が成立するといいます。なお、返すことばはできるだけ固有名詞にするか、相手が意図的に使っていそうなことばにしてみるといいそうです。

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相手「この間、銀座に買い物に行ってきたんですよ」

自分「……へえ、そうなんですか」


相手「この間、銀座に買い物に行ってきたんですよ」

自分「へえ、銀座ですか!」

相手「この間、銀座に買い物に行ってきたんですよ」

自分「へえ、お買い物に行ったんですか!」(178ページより)

会話が続かないときは?

悩み2 相手から話を 引き出せなくて 会話が続かない

武器2 とにかく疑問形で 話をしよう!

著者によれば「聞き上手」とは、「質問上手」という能動的なスキルのこと。

そんな質問上手になるための最初の一歩は、ひたすら相手に疑問形で聞き返すことだといいます。

うまい質問ができなくても、気の利いたことを聞けなくても問題なし。疑問形で返すことだけを頭に入れておけばいいというのです。

なぜなら、相手から話をたくさん引き出せるようになれば、気の利いたことも聞けるようになってくるものだから。

会話を苦手だと考えている人ほど、実は相手に質問ができていないのだそうです。しかし質問し続けると、そこで得られた回答から、次に聞きたいことが自然に生まれてくるもの。

たしかにそう考えれば、会話が続かず焦る必要もなくなってくるかもしれません。

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相手「今日は朝からいい天気ですね」

自分「そうですね」


相手「今日は朝からいい天気ですね」

自分「お家の近くの天気は、どうでしたか?」

相手「今日は朝からいい天気ですね」

自分「先週末は大雨でしたよね。あの日ってどうしてました?」(183ページより)

「コミュニケーションはゲーム」であると著者はいいます。悩んでいるだけでなにもしないなら、なにかしらを「武器」を選んで実際に使ってみるべきだとも。

仮に失敗したとしても、それは一歩前に進んだだけのこと。たしかにそう考えれば、コミュニケーションに対する恐怖感を克服できそうです。

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Source: アスコム

Photo: 印南敦史