ニューノーマルな働き方が定着し、「時差出勤」「リモートワーク」など、自らが時間管理を行なう必要も増えているのではないでしょうか。

こうした中で必要となるのは、いかなる状況にあっても集中力をキープするチカラです。

今回は、オフィスであっても、リモートワークであっても、集中力を維持するスキルとして注目される「アテンションマネジメント」の進め方を紹介します。

「自宅だと集中力が保たない」「時差出勤だと疲れやすい」。そんなジレンマがある方は、ぜひ取り入れてみてください。確実に生産性を高めてくれること間違いなしです。

今注目される「アテンションマネジメント」とは?

スピーカーから音が出る様子
Image: pickbiz/Shutterstock.com

こんなことはないでしょうか。集中しないといけないのに、ついスマホをみてしまう。YouTubeを眺めてしまう。隣の人と雑談をしてしまう。

特にリモートワークの場合はなおさらでしょう。自分の部屋ということもあり、誘惑に囲まれているといっても過言ではないからです。

カリフォルニア大学アーバイン校で情報科学を研究するグロリア・マーク氏の研究によると、私たちが一度集中を切らした時、再び集中した状態に戻るのにかかる時間は、実に23分も要するというのです。中断のダメージは侮れません。

さて、このアテンションマネジメントとは、気の散る事柄をコントロールし、その阻害要因を取り除き、集中力を維持する手法のこと。

この方法を覚えると、いかなる状況でも、集中力をキープし続けやすくなります。

では、その具体的方法を紹介しましょう。

ステップ1:「何に気を奪われているのか」に注意を向ける

ヘッドホンをつけた犬
Image: Aleksey Boyko/Shutterstock.com

まず、「何に気を奪われているのか」に注意を向けるのが最初のステップです。

人によって「集中力」が奪われる傾向は異なります。NLP(神経言語プログラミング:心理学)で、提唱される分類は参考になるでしょう。「聴覚」「視覚」「体感覚」で分けて考える方法です。

たとえば、騒音や話し声で集中力が途切れるのは「聴覚」派の方。

何かが目に飛び込んでくると気が散ってしまうのは「視覚」派の方。

そして、「体がだるくなる」「肩がこる」「目が疲れる」といった、体の不愉快な感覚で気が取れられる人は「体感覚」派の方。

私は、「体感覚」派です。すぐにムズムズさを感じてしまい、集中がとぎれてしまうことがあります。

なので、夜と朝に湯船につかり、汗をかいてさっぱりとしてから朝の仕事に臨みます。これも、自分の傾向を把握しているからこその選択です。

あなたにも、傾向があるはずです。どんな時に集中力が途切れやすいのかを見つめてみることをおすすめします。

ステップ2:「気をとられる障害」を取り除く

通知がたくさん来るスマホ
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次にやることは、環境を整えることです。まず、外的な要因をコントロールしてみてください。その手法の一例を紹介しましょう。

「スマホ・メール」の誘惑に勝つ

スマホやメールは、あなたの注意力を削ぐように設計されています。着信時にスマホが「振動」するのもそうです。これらは、せっかく集中しているあなたの集中力を削ぐために設けられた機能です。

まず、「振動」「着信案内」をオフにしましょう。これだけでも効果は見込めます。

しかし、最もおすすめなのは、スマホを別の部屋におく、または鞄に入れておく方法。ひと手間の作業が必要となることで、スマホを見ようとは思わなくなるものです。

集中できる環境をつくる

人の話声、人の動きが気になるようなら、隣の人との間に境界・距離を設けてみてください。家なら、間仕切りを設けるのも一考です。

それでも気になるようなら、別の場所、別の階に移動してみることもおすすめです。

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また、ある程度の騒音があったほうが、集中力を維持できる人もいます。カフェなど、ある程度の騒音がある場所を探すもいいでしょう。

ホワイトノイズ」をご存じでしょうか。単調な「ゴー」、または「シャー」と連続する音なのですが、集中力を高めてくれる効果があるといわれています。

カフェや電車などでは、この「ホワイトノイズ」に近い騒音があるので、集中できると言われているのです。

※YouTubeでも「ホワイトノイズ」を聞くことはできます。スマホの無料アプリもありますので、お気に入りをチェックしてもいいでしょう。

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ステップ3:集中力を高める仕事術を知る

ToDo管理をする黒板
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次にやることは、集中力を高める仕事の進め方=内的要因を知ることです。一例を紹介しましょう。

タスクを細分化して、簡単な作業から着手する

取りかかる予定の作業が面倒だと感じると、つい着手を先に延ばしてしまい、気が付けばムダな時間を過ごしてしまうことはないでしょうか。

そんなときは、仕事を細分化し、簡単な作業から取りかかってみてください

たとえば、企画書の作成。「タイトルだけ入力する」と決めると、取りかかりやすくなるイメージを持てませんか。

実際にやってみると、タイトルだけでは済まず、「もうちょっとやってみよう」となることも少なくありません。

まず、簡単な状態にしてから、着手をしてみてください。

所要時間を決めて取りかかる

タスクに取りかかる際、「○分でやり切る」と決めてみてください。

締め切り前に集中力が上がる「締め切り効果」をご存じでしょうか。似たような経験をされた方も多いはずです。この現象同様にタスクごとに締め切りを設けることで、集中力を高める効果を得られるのです。

***

さて、今回は、自分の集中力をマネジメントする「アテンションマネジメント」の手法を紹介しました。

すぐにできることばかりですので、やってみたいことからトライしてみてください。きっと、集中力がアップすること、間違いなしです。

伊庭 正康 株式会社らしさラボ 代表取締役

伊庭さん

リクルートグループ入社。残業レスで営業とマネジャーの両部門で累計40回以上の表彰を受賞。その後、部長、社内ベンチャーの代表を歴任。2011年、株式会社らしさラボ設立。リーダー、営業力、時間管理等、年間200回以上の研修に登壇。リピート率は9割以上。現在は、オンラインを活用した研修も好評。近著に12万部を超える『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ (PHP研究所)』のほか、新刊の『目標達成するリーダーが絶対やらないチームの動かし方(日本実業出版)』『結果を出す人がやっている! 仕事を「楽しくする」方法(アスカビジネス)』をはじめ、他多数の書籍がある。

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※YouTube「研修トレーナー伊庭正康のビジネスメソッド」もスタート

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