言葉だけの「毅然とした態度で対処」が繰り返し許す北朝鮮の蛮行

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10月2日、潜水艦から発射されたと見られる弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下しました。同7日には、EEZ内にある漁場、大和堆周辺で北朝鮮漁船が水産庁の取り締まり船に船体をぶつけ沈没するという事件も起こりました。メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』の著者で、北朝鮮研究の第一人者の宮塚さんは、北朝鮮による日本への蛮行が目立つのは、これまでの政府の対応が生ぬるいせいだと厳しく指摘します。

2017年11月以来、日本のEEZへSLBMを打ち込む

北朝鮮が日本に空と海から牙を向けている。北朝鮮は10月2日の午前7時10分ごろ東海岸付近から弾道ミサイルを発射し、同27分に島根県隠岐諸島沖合約350キロメートル付近の日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。

江原道元山の北東約17キロメートルの海上から発射されたこのミサイルは、「潜水艦射弾道ミサイル(SLBM)」と見られている。北朝鮮の弾道ミサイルなどの発射は5月以降11回目。SLBMの発射は2016年8月以来で、日本のEEZ内への落下は、17年11月に大陸間弾道ミサイル(ISBM)「火星15」が青森県西方約250キロメートルに落ちて以来である。

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙『労働新聞』は3日、2面にわたってこの発射実験を大々的に報じ、「自衛的国防力強化の一大事変」だと誇示した。今回のミサイルがSLBMとなれば明白な国連安全保障理事会決議違反であるが、トランプ大統領は「短距離ミサイルは問題視しない」という立場を貫いており、北朝鮮は目前に迫った米国との協議再開から逆算して兵器の開発を急いだのだろうか。

米国との協議が本格化すると実験を繰り返すのが難しくなるので、そのために今回のSLBMの実験に踏み切ったのだろうが、今回、発射されたミサイルは、日本の排他的経済水域に落下しており、この海域は好漁場で操業する漁船も多く、船舶だけでなく航空機にも危険が及ぶ可能性があった。日本政府は、国連安全保障理事会決議違反であるとして、北朝鮮に厳重に抗議したが、北朝鮮がこのような抗議を「真摯に受け止める」などとは、それこそ口が裂けても言わない。

一方、日本海の日本の排他的経済水域にある好漁場「大和堆」周辺で8月24日に、外国漁船の違法操業の監視にあたっていた海上保安庁の巡視船が、北朝鮮の公船と見られる小型の高速ボートから小銃を向けられ、威嚇されるという事態があった。現場付近の海域では前日の23日午前9時半ごろ、水産庁の漁業取締船が北朝鮮のボートに接近される事案が発生していたが、このときは、武装は確認されなかったというものの、この23、24日の両日は、周辺海域で日本のイカ釣り漁船団が操業中で、水産庁は、安全確保のため退去を呼びかけた。

大和堆周辺では、平成29年7月にも水産庁の漁業取締船が北朝鮮船籍と見られる船舶から銃口を向けられることがあり、日本政府が外交ルートを通じて北朝鮮に厳重に抗議したことがあった。そして、この10月7日朝、大和堆周辺で水産庁の取り締まり船が、EEZから北朝鮮の漁船の退去を警告し、放水した直後に北朝鮮の漁船が急旋回して衝突した。北朝鮮の漁船は沈没したが、乗組員60人は全員救助された。

北朝鮮は後日、日本に損害賠償を求めてきたが、日本側はこれに応じていないが、当然ことである。菅官房長官は、衝突の映像を公開する方針を示したが、これも当然である。

北朝鮮がこのまま引き下がるとは思えないが、日本側は、「毅然とした態度で対処する」などと、いつものような生ぬるい態度では、北朝鮮はこれからもつけあがってまた同じような事例を繰り返すだろう。北朝鮮が日本に公然と牙を向けてきたことは由々しき事態である。(宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄)

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元山梨学院大学教授の宮塚利雄が、甲府に立ち上げた宮塚コリア研究所から送るメールマガジンです。北朝鮮情勢を中心にアジア全般を含めた情勢分析を独特の切り口で披露します。また朝鮮半島と日本の関わりや話題についてもゼミ、そして雑感もふくめ展開していきます。テレビなどのメディアでは決して話せないマル秘情報もお届けします。長年の研究対象である焼肉やパチンコだけではなく、ディープな在日朝鮮・韓国社会についての見識や朝鮮総連と民団のイロハなどについても語ります。

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