当たり前といえば当たり前ですが、ただ漫然とモノを売っているだけでは、数字に対する感覚が身についたり、商品に対する思い入れが深くなったりすることはありません。しかしそれでは販売員としての成長は望めないこともまた事実です。何か良いトレーニング法はないものでしょうか。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、シンプルかつ効果的な方法を紹介しています。
自分で仕入れる
販売員の数字に対する感覚や、商品に対する思い入れを向上させるシンプルな方法があります。販売員が自分で商品を仕入れることです。
仕入れというのは、とてもハードなことです。店に商品が並ぶということは、商品を仕入れる(または商品を生産する)ことで成り立ちます。ということは、どの商品をどのくらい仕入れるかを考えなければいけません。
売れ残ればそれだけ損をしてしまうことになりますし、逆に、売れてしまって在庫を切らすことになれば、機会ロスが生まれてしまい、結局これも損をすることになります。だから、仕入れというのはとても難しいことなのですね。
ですが、普段販売員が仕入れをすることはまずありません。大体は本部やマネージャー、MDに携わる人、もしくは、店長の仕事になるでしょう。だから、仕入れに対する感覚はなく、どの商品がどれだけ売れ残ろうが在庫切れしようが、それは仕入れた人の責任だとたいして気にもとめません。
しかし、販売員自身が仕入れることになると、途端に考えることが増えます。
「この量を入れても大丈夫だろうか」
「これくらいの量で本当に足りるのかな」
こういうことを真剣に考え、商品1点の重みを感じることになるのです。
と言っても、実際に販売員自身が商品を仕入れるというのは難しいですよね。でもだからこそ、トレーニングをして、自分でやってみることをお勧めします。今、自分が商品仕入れを担当するとしたら、どうするか。それを考えるのです。
今月は、Aという商品を10点、Bという商品を5点仕入れると考えます。これだけで、その商品を適正価格で販売すると、どのくらいの利益になるか、売れ残ると、どれくらいのロスになるかを考えることになります。
そして、次の仕入れ機会までにそれらの商品が実際にどのくらい売れたのかを確認します。やたらと売れ残っていたなら、仕入れ量が多すぎて、動向を読みきれなかったとわかりますし、逆に早い段階で売り切れてしまっていたとしたら、これもまた読み違えていたことがわかります。できれば、それによってどのくらいの売上が立ち、どのくらいの売上ロスが出ていたかも考えるとより良いでしょう。
こういうことを繰り返していると、商品仕入れの感覚と同時に、数字全体に対する感覚、そして、商品を売り切るために必要な工夫がどんなものかまで考えられるようになります。
自身のトレーニングと思って、勝手に仕入れをしてみたつもりになってやってみてください。教育者の方なら、スタッフの方にトレーニング的にやってみても良いかもしれません。驚くほど、感覚が成長することがわかるはずです。
今日の質問です。
- 自分で商品を仕入れるとしたら、どんなことを考える必要がありますか?
- 実際にやってみてどうでしたか?
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