中国のアメとムチ作戦が大失敗。台湾・蔡英文総統「圧勝」の意味

蔡英文
 

1月11日に行われた台湾の総統選挙は、現職で反中派の蔡英文総統が最高得票で圧勝し再選を果たし、与党民進党も過半数を維持しました。メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の著者で台湾出身の評論家・黄文雄さんがこの選挙について解説。中国にとって予想外の選挙結果は「中国への恐怖心」と、香港のデモで「台湾の若者が目覚めた」ことによると説明。選挙前の不審なヘリ墜落事故などもあり、この結果を受けた中国の動きを警戒しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年12月30日年末特別号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

中国の目論見がことごとく外れた台湾総統選

台湾のヘリ墜落は中国の斬首作戦か

台湾の国政選挙は予想外に民進党の圧勝でした。やはり、マスメディアで言われている通り、この結果には次の3つの要因があったのではないでしょうか。

1つめは、親中派が政権を取れば、台湾にとって「最後の選挙」になるかもしれないという危機感、2つめは中国への恐怖心、3つめは香港の反中デモの影響。とくに2つめの要因である「中国への恐怖心」が、国民党および国民党候補への投票をためらわせた結果、韓国瑜が落選したというわけです。

そもそも彼は大衆迎合型の人で、国民党候補になった時点で国民党主流派からは敵視されていました。アメリカからも要警戒人物と目されていましたが、人材不足に悩む国民党は彼を候補にするしかなかったのでしょう。しかし、結果的には「中国の威を借る韓国瑜」というイメージのまま敗北に至りました。

オーストラリアで逮捕された中国共産党のスパイによると、中国政府から韓国瑜に渡ったカネは2000万人民元、日本円で約2兆円以上だということです。さらに、中国政府は台湾に対して軍事恫喝のほか、「恵台」として台湾にも恩恵を与える26項目の条文を(31項目とも言われています)定め、アメとムチ作戦で翻弄しようとしていました。

しかし韓国瑜は負けました。習近平が支援していた候補者が負けたのです。これを理由に、かつてのフルシチョフのように、習近平が党内で突然解任される可能性も否定はできません。中国政府の今後の動向が気になります。

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