米ドル覇権はコロナで終わった。10年後の基軸通貨が「仮想通貨」になる理由=吉田繁治

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ポストコロナでは、米ドルがシェア60%の基軸通貨の役割を減らしていくでしょう。5年後には基軸通貨の多極化が起こり、10年後は仮想通貨に置き換わります。(『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)

※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2020年6月10日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

倒産・廃業を阻止しながら「封鎖解除」へ

北半球の国は、第二波を恐れながら封鎖の解除に向かっています。 パンデミックは3月に始まりました。米国では、高級百貨店ニーマン・マーカス(2017年の年商は5,270億円:全米45店)に続き、GMSの大手JCペニーも会社更生法を申請(年商117億ドル:全米660店)。社員と負債をカットし、資本の再投入を目指す米国型倒産です。 JCペニーは、イオンやIY堂にあたるでしょう。2018年に倒産したシアーズがダイエーです。18年、19年の業績がボディブローで、都市封鎖がカウンターパンチでした。 米国政府は、都市のロックダウンを、災害時の仮設住宅への収容と同じと考えています。仮設住宅には政府が補助金を出さねばならないとして、 (1)航空機の受注が消えたボーイングを筆頭とする大企業(全米の雇用の50%:7,000万人)に対しては直接の増資(劣後債)、CP(短期手形)の購入 (2)中小企業(雇用の50%:7,000万人:従業員500人以下)には社債の購入、家賃と人件費の補助 などを打ち出しています。 倒産と廃業を、貸付金・劣後債の投入・社債とCPの買い上げ・家賃補助・件費補助によって防ぐ。原資は、国債を発行してFRBが買い取ること。ドルのプリンティングです。

米国債の消化問題が生じる米国

米国債は、ほぼ100%を国内で消化してきた日本とは違いがあります(海外所有は短期債10%)。 米国は、経常収支(貿易+所得の収支)が赤字続きです(2019年:5,995億ドル)。その分、ドルは海外に流出を続けています。 ドル国債の100%国内引き受けはできません。経常収支が赤字の時はドルが海外に流出し、国全体はドル不足になるからです。不足とは、投資と支払い(マネーの需要)に必要な金額に対して、現金が足りないことです。 日本は、米国とは逆に経常収支の黒字が続き(1年に約20兆円)、国内の銀行にマネー余力があり、国内で国債を消化しています。加えて、海外から流入したドルで米国債も買っています。 その日本とは真逆で、新規の国債発行分の50%くらいは海外に売らねばらないのが米国です。 米国国債のこれからの問題は、「3月のFRBの利下げ(ドルの緩和)によってゼロ金利になった米国債は、海外に円滑に売れるのかどうか」ということです。 日本、中国、産油国、ユーロから米国債の買い越しが減ると、経常収支の赤字でドルが海外流出している米国債の金利は、FRBの買い上げにもかかわらず上昇していくでしょう。 ドル安をカバーするため金利が上がらないと、海外からは米国債は買われにくくなっていくからです。自国通貨でもっていれば、為替は関係がない。ゼロ金利のドル国債を買えばドル高では得をしますが、ドル安になると損をします。

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