賭けに出た習近平。コロナ対応の失敗を“香港併合”で揉み消す中国の魂胆

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世界各国が新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄され、国内の対応に追われてできた隙を突くように、自国の覇権拡大を進めるしたたかな国が2つあります。国内では香港問題、国外では海洋進出やインドとの国境での衝突など不穏な動きを見せる中国、そしてリビア内戦でエジプトと、地中海東の天然ガス資源を巡ってイスラエルと対峙するトルコです。この2ヶ国の動きを元国連紛争調停官で国際交渉人の島田久仁彦さんが、メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』で詳細に分析し伝えます。

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コロナウイルスでも止められなかった国際紛争

6月25日現在、確認されている新型コロナウイルスの感染者は945万人弱で、月末までには1000万人の大台を突破し、死者も50万人を超えることになるでしょう(6月25日現在、約48万人)。米国では11州で感染の第2波の兆候が早くも出てきて、マーケットは都市封鎖の再開への警戒から下降トレンドに変わってきてしまいました。

これまでに何度か触れてきたように、COVID-19のパンデミックとその感染拡大のスピードは、ヒトとモノの動きを停止させ、経済合理性に基づいた成長モデルは成り立たない状況に陥ったといえます。代わりにリモートワークやICTベースの仕事のやり方が普及してきているという希望が持てる動きも加速していますが、旅行を自粛する動きや心理は数年は続きそうで、実質的にヒトとモノの動きが戻るのは2023年から2024年ではないかという予想も出てきました。

それを受けてでしょうか。IMFや世界銀行は、COVID-19の影響で2020年の世界経済はマイナス成長を経験し、2021年については、COVID-19の終息によって微増かさらなるマイナス成長かが分かれるとの判断が示されています。

いろいろなものが新型コロナウイルス感染拡大で“停止する”中、唯一、加速したのが国際紛争です。当初は、パンデミックによって人の動きが規制されることで停戦の機運が生まれるとの期待もありましたし、私もそう考えていましたが、ふたを開けてみると、リビアではトルコとロシアの代理戦争が始まっていますし、中国とインドは久々の交戦を行い、国境地帯では緊張が高まっています。

さらには、中国の動きが非常に活発化しているという憂慮すべき事態も起きています。米中対立の激化、南シナ海での強硬手段、尖閣諸島を含む東シナ海での挑発行為と実効的支配の確立に向けた動き…コロナ前から覇権的・領土的な意欲を持っていた国々や勢力が、コロナによる世界的な混乱を機に、一気に攻勢をかけています。

紛争調停官としては複雑な心境ですが、「コロナウイルスの感染拡大は、紛争を凍結するどころか逆に誘発させた」ということができるかもしれません。その中心的なプレイヤーは間違いなく中国とトルコでしょう。

まず中国ですが、各国が新型コロナウイルス感染拡大への対策に苦慮する中、いち早く第1波を乗り切った(実際に乗り切れたのかは定かではないですが)中国は、各国が中国の動きに対抗できない状況を見計らってアフターコロナの世界での覇権的地位を確立・拡大するために世界至るところで、特にOne China,One Asiaの理念の下、アジア太平洋地域において実力行使に出ています。

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