もう米国には頼れぬ。それでも日本に敵基地攻撃能力は不必要か?

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以前掲載の「突然のイージス・アショア停止で判った、安倍首相の戦略的大混乱」でもお伝えしたとおり、陸上配備型迎撃ミサイルシステムの導入を断念し、安全保障戦略の見直しを表明した日本政府。不穏な動きを見せる北朝鮮や対外拡張路線を隠さぬ中国等、東アジアが揺れ続けている今、日本は国民と国益を守るために何をすべきなのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、「軍事の自立」と「米国に代わる同盟国」をキーワードに分析、解説しています。

日本、【敵基地攻撃能力】確保へ動き出す

最近、「イージス・アショア計画断念」が大きなニュースになりました。河野防衛大臣が涙ながらにお詫びをしていたと。しかし、何事にも「表裏」があります。「悪いこと」があれば、「いいこと」もある。

イージスアショア計画断念が決まり、安保戦略の見直しがはじまるそうです。そして、「飛んでくるミサイルを撃ち落とすイージス・アショアより、ミサイルを発射する【敵基地を攻撃する能力】を手に入れよう」という話になっている。これ、どうなんでしょう?時事通信6月29日に、Q&Aが掲載されていました。

敵基地攻撃って何するの?被害最小化へ国外拠点破壊

時事 6/29(月)7:30配信

 

政府は陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」計画断念を受け、安全保障戦略の見直しに着手した。自民党が繰り返し提言してきた敵基地攻撃能力保有の是非についても議論する見通しだが、与党内にも異論を抱え、コスト面などで課題も多い。

「敵基地攻撃能力保有の是非について議論する見通し」だそうです。まことにめでたいことです。

―敵基地攻撃って何をするの。

 

ある国から弾道ミサイルなどで攻撃された事態を想定し、被害を最小限に食い止めるために、相手の領域内にあるミサイル発射装置などの拠点施設を破壊することだ。

(同上)

「相手の領域内にあるミサイル発射装置などの拠点施設を破壊する」そうです。飛んでくるミサイルを撃ち落とすより、確実な手段に思えますが。ハードルはあるのでしょうか?

―憲法9条で禁じられているのでは。

 

政府の見解では、他に手段がない場合は敵基地攻撃も「自衛」に含まれ、合憲とされる。ただ、9条に基づく「専守防衛」の原則を逸脱するとの慎重論もあり、政府はこれまで「敵基地を攻撃できる能力はあえて持たない」との立場を取ってきたんだ。

(同上)

どう考えても持つべきでしょう。なぜか?今の日本だと、北朝鮮も中国も遠慮なく、何百発でもミサイル攻撃できます。なぜ?「絶対に撃ち返してこない。わが国(北朝鮮、中国)は、絶対に安全だ」と確信できるから。日本は現状、【 サンドバック状態 】なのです。

北朝鮮が、日本にミサイルを撃ち込んだ。日本は即座に、相手のミサイル発射施設を全部破壊する。これ、誰がどう考えても【 自衛 】でしょう。相手が殴ってきた。それで、仕方なく殴り返したら、【 正当防衛 】です。

―なぜ今、検討されているの。

 

最大の要因は、中国や北朝鮮がミサイル技術を急速に高度化させていることだ。中国は迎撃困難とされる極超音速滑空兵器の開発競争で日米両国に先行。北朝鮮も変則的な軌道を描いて迎撃を回避する新型ミサイルを開発している。

 

こうした現状への危機感から、自民党内では数年前から「ミサイル防衛網だけでは限界がある」として、敵基地攻撃能力の保有を求める意見が強まっていた。陸上イージス計画の断念を受け、安倍晋三首相も「抑止力とは何か、突き詰めて考えなければいけない」と検討を表明したんだ。

(同上)

安倍総理は、是非とも「敵基地攻撃能力確保」にむけて、動いて欲しいと思います。安倍政権は、「河井夫妻問題」「パンデミック対応問題」などで追い詰められています。しかし、この計画を推進することで、支持率を回復することができるでしょう。

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