先見の明あり。菅首相「携帯料金引き下げ」が日本を救う深い訳

tsuda20201013
 

アベノミクスも未完に終わり、コロナ禍もあって浮上できずにいる日本経済。「安倍政権の継承」を明言する菅首相は、我が国を再成長させることができるのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者で日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、「国家全体の経済成長を支える柱」として3つの技術を挙げ、その具体的な整備法を提案しています。

菅首相が考える「成長戦略」の中身とは?

菅首相になり、明確な説明がないが、焦点を絞った成長戦略を立てたようである。河野大臣や平井大臣の凄味が違う。どのような戦略を立てるべきかを検討する。

なぜ、安倍政権時代には、日本の成長戦略が機能しなかったのか。少子高齢化対策や農業輸出促進策、インバウンド推進などの総花的な政策を行ったが、メインは金融緩和策で、経済衰退を隠していたが、コロナで日本経済の衰退が明確になってしまった。

総花的な経済成長戦略が、大手を振るっていたが、それでは日本経済は衰退を免れないし、政策費や研究開発費を広範囲にバラまくだけで、有効な効果が出なかった。要するにバラまき政治だった。

このため、焦点を絞った改革が必要なのである。そして、そのためには権力の集中が必要になる。日本社会を衰退から発展に大きく転換させるためには、権力を集中させて、その指示のもとに予算をある分野に集中投下して基盤を作るしかない。

規制緩和や制度改革には既得権益者がいて、強い反対に会い、それを撥ねつける強い権力で、菅首相は対応してシステムを完成させてほしい。勿論、河野大臣や平井大臣の活躍が必要であるが、矢面に立たされるのは菅首相である。菅首相が一番大変なのだ。

産業育成政策が重要であると、このコラムでは述べていたが、やっと、その方向に政権が向かい始めた。

特にコロナ感染拡大で社会全体でのデジタル化が、世界的に見ても遅れていることを実感した。このデジタル化が世界の企業競争の中心にあるし、生産性向上の要であるが、その中心が遅れているので、企業全体も競争力をなくし、生産性を上げられずに労働者の賃金も上がらないし、日経平均株価も米国ナスダックほどには上がらなかった。

日本がデジタル化の進む米中に追い付くには、デジタル化の急速な整備が必要であり、そのデジタル化の整備とは、人工知能AIとクラウドコンピューティング、移動通信の5Gの3つの技術の整備が必要であり、これらを社会活動の基盤とすることにある。

AIを有効にするためには、大量のデータが必要であり、そのデータを集めるのがクラウドであり、大量データを迅速に集めるには高速通信の5Gや高速光ファイバー網である。

このため、NTTは、光ファイバー網と移動体通信4G・5G、データセンター(クラウド)の融合が必要になり、ドコモを完全子会社化した。今後NTT内子会社を、デジタル化整備に合わせて再編することになるとみる。そして、このインフラ整備とともに、技術開発と研究開発でも米中に追い付かないと、世界での競争には勝てない。この研究でもNTTが中心で行うしかない。

そして、膨大な処理が必要な自動運転操作などもクラウドで処理した結果を自動車に送るために、5Gが必要になる。ということで、総合的な整備が自動車の完全自動運転でも必要になる。

この分野でも、トヨタとNTTなどの主要企業が組んで研究開発するべきである。技術はすぐに陳腐化するので、その研究はインフラ整備とともに行う必要があるのだ。中国のように、研究開発では国家がサポートするしかない。

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