翼の形や大きさがちがうから
Q どうしてペンギンは鳥なのに飛べないのですか?(三重県鈴鹿市・小3・T・Sさん)
A ペンギンは水の中をスイスイと泳ぐので、魚の仲間だと思う人もいるかもしれませんが鳥の仲間です。鳥類ペンギン目に属しています。
ペンギンが飛べない理由はいくつかあります。一つは、体に対して翼が小さいからです。空を飛ぶ鳥は、浮かび上がる力を生み出すために大きな翼があります。ペンギンの翼は、水の中で抵抗をうけにくくするため小さいです。
もう一つは、翼が空を飛ぶための形をしていないからです。ペンギンの翼は1枚の板のような形をしていて、フリッパーと呼ばれます。関東で最多となるマゼランペンギン48羽を飼育している「すみだ水族館」(東京都墨田区)の飼育スタッフ、芦刈治将さんは「はばたくというより、水をかく動きをします」と話します。
骨もちがいます。空を飛ぶ鳥の骨は、体を軽くするために中が空洞になっています。ペンギンの骨は、水圧に耐えられるように密度が高く重くなっています。
どうしてペンギンは空よりも水の中で活動することを選んだのでしょうか。大昔は海にもぐったり、空を飛んだりしてエサをとっていたと思われます。水の中の方がエサが豊富で、天敵が少ないため、いつしか泳ぎやすい翼になったと言われています。
「ペンギンの骨には空を飛んでいた名残があります」と芦刈さんは話します。胸の真ん中に、はばたくために発達した筋肉を支える竜骨突起があります。おしりには、長い尾羽がついていた名残とされる尾端骨があります。
ペンギンは鳥と同じ祖先から分かれて進化し、白亜紀(約1億4500万年前〜6600万年前)ごろには、今のペンギンのような形になっていたと考えられています。飛べなくなったのではなく、飛ばないことを選んだといえます。【篠口純子】