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旧優生保護法を問う

旧優生保護法下で不妊手術を強制された障害者らの記録に関する毎日新聞の全国調査で、強制手術を受けた人の約8割に当たる1万2879人の資料が確認できなくなっていることが判明した。「記録のない被害者」をどう特定し、救済につなげるか。

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旧優生保護法は「違憲」 賠償請求は棄却 仙台地裁判決

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旧優生保護法について国に賠償を求めた訴訟の判決をうけ、「不当判決」と書かれた紙を掲げる弁護士=仙台市青葉区の仙台地裁で2019年5月28日午後3時、和田大典撮影
旧優生保護法について国に賠償を求めた訴訟の判決をうけ、「不当判決」と書かれた紙を掲げる弁護士=仙台市青葉区の仙台地裁で2019年5月28日午後3時、和田大典撮影

 旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法13条の幸福追求権などに違反していたとして、宮城県の60代と70代の女性2人が計7150万円の損害賠償を求めた国家賠償請求訴訟の判決が28日、仙台地裁であった。中島基至裁判長は、旧法の違憲性を認めた一方、原告の請求は棄却した。不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」が過ぎていることを理由にしている。

 全国7地裁で計20人が起こした国賠訴訟のうち判決は初めてで、旧法をめぐる憲法判断も初めて。旧法の違憲性が明示されたが、賠償が認められなかったことで、原告側は控訴するとみられる。

 訴訟は昨年1月、「佐藤由美」を仮名にしている知的障害者の60代女性が、15歳で不妊手術を強制されたとして全国で初めて仙台地裁に提訴。同5月には「飯塚淳子」の仮名で被害を訴える70代女性が、16歳で手術を強いられたとして同地裁に提訴した。その後、両者の審理が併合され、今年3月に結審。中島裁判長は「旧法の憲法判断を回避しない」と予告していた。

 一方、国側は民法の除斥期間や国家賠償法の存在を理由に請求の棄却を求めていた。原告の請求額は、60代女性が3300万円、飯塚さんが3850万円だった。【伊藤一郎、遠藤大志】

旧優生保護法

 ナチス・ドイツの断種法をモデルにした国民優生法が前身。終戦直後の1948年、法文に「不良な子孫の出生防止」を明記し、議員立法で成立。国は施行後、「だまして手術してよい」と都道府県に通知し、強制性を強化した。国際的な批判を背景に96年、障害者への差別的条項を削除して母体保護法に改定。「強制」「任意」合わせ少なくとも2万4991人が手術された。

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