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2020年の前半は新型コロナウィルスの影響で、日本経済は大きなダメージを受けました。多くの企業の業績が悪化する中、夏のボーナスシーズンが到来しましたが、多くの業種で支給額は前年から大幅にダウンしています。
ボーナスの減少は、さらなる消費の冷え込みを招く恐れがあります。この記事ではさまざまな企業のボーナス事情を検証した上で、今後の日本経済がどのような動きを見せるのかについて展望します。
非常事態宣言が解除されて、社会経済も徐々に回復しつつありますが、企業にとってこの先の見込みは依然として不透明なままです。そのため積極的な業績回復に取り組む前に、何とかして体力維持を図ることが企業にとっては当面の課題です。
具体的には給与や夏・冬ボーナスの減額、新規採用の見送りや抑制などによるコストカットで対応する企業が多いようです。ただし、これまで人手不足に悩んでいた企業の中には、人材確保に成功した事例もあり、一概に全産業で業績が悪化したと決め付けることはできません。
参考:6月ロイター企業調査:5割超がコロナで賃金・雇用カット、業績不透明感強く
夏のボーナス支給額については、日本経済団体連合会(経団連)が6月17日に、日本経済新聞社が5月13日に、主に上場企業を対象にした調査結果を発表しています。
その結果によると日経新聞の調査では前年比約4.7%減で、経団連の調査では約6.0%の減少が予測されています。対象企業の規模や数の違いはあるものの、5月から6月までの1カ月間で、およそ1%減少幅が拡大しています。
これは企業にとっての業績悪化が、徐々に深刻さを増していることの現れと考えられます。しかし、いずれの調査も春期の業績を反映した数値のため、新型コロナウィルスの影響はまだ限定的で、実際には冬のボーナスへの影響の方が大きいという意見もあります。
各業種別のボーナス支給額を分析してみると、全体的には製造業の平均が5.1%減に対して、非製造業が9.8%減とやや下げ幅が大きくなっています。
その中で最も減少幅が大きかったのは鉄鋼業で、精密機械や自動車関連業も大幅に減少しています。
逆に、建築業や小売業では今回減少傾向が見られず、紙・パルプ業は例外的に増加傾向でした。
ただし経団連の調査対象は日本屈指の大手企業なので、中小企業とは大きな格差が生じています。では次に、企業規模によるボーナス事情の違いも確認しておきましょう。
日経新聞が調査した時点で、大手企業夏のボーナス支給額の上位は、トップの169万6,700円から始まって16位までが100万円を超えています。しかも前年比で減少しているのは、16社中6社だけです。
また経団連が調査した86社の平均支給額は、92万5,947円で前年比6.0%の減少です。この数字はリーマンショック直後、2009年夏のボーナスが前年比で19.4%減少して以来の大きな下げ幅です。
大手企業は経営基盤が強固な上、5月の調査時にはまだ新型コロナウィルスの影響が少なかったため、夏のボーナスでは予想したほどの減少傾向が見られなかったのでしょう。
しかし冬以降のボーナスを不安視する意見が多かったことから、業績への影響はむしろこれから顕在化するのかもしれません。
一方、みずほ総合研究所が5月25日に発表した調査結果によれば、事業所規模5人以上の民間企業では、夏のボーナス平均支給額は34万6,480円となり、前年比9.2%の減少です。
大手企業と比較すると実に3分の1という低水準の上、減少幅も大きいことを考えると中小企業の経営の苦しさが伝わってきます。
しかし、中小企業の現状はもっと厳しいようで、夏のボーナスの完全カットや大幅減額を決めたという意見も多く、大手企業とその下請け企業との間でも、非常に大きな格差が生じています。
一例として大阪府内の信用金庫が行った調査を精査すると、今回夏のボーナスを支給する企業の割合は、前年比9.4%減で調査対象企業の50.4%という結果です。しかも「多少無理をして支給する」と答えた企業の割合は、前年比で7.6%も増加しています。
中小企業の業績悪化は今後も続くと見られ、夏よりも冬のボーナスへの影響が危惧されます。さらに給与のカットや雇用状況の悪化にまで進む可能性もあり、中小企業にとっては一段と過酷な経営状況が続くかもしれません。
経団連による調査では、公務員の支給額は前年比0.6%の増加で、74万499円となる見込みです。ここには新型コロナウィルスの影響は見られないようです。
新型コロナウィルスにより日本経済が停滞したのは、3月から5月までのほぼ3カ月間です。その間の業績悪化は規模の大小を問わず、大手企業でも中小企業でも極めて深刻でしたが、2020年夏のボーナスへの影響は企業規模による体力の違いによって、大きな格差が生じているようです。
さらに影響は冬のボーナスの方が大きいという意見も多く、企業の業績に関しては年内に底を打ち、ゆるやかな回復基調になるという見方もあります。しかし夏のボーナスの減少と先行きの不透明感から、消費の回復が遅れる可能性もあります。新型コロナウィルス後の社会は、企業にとっても個人にとっても依然として見えてはきません。
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