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21世紀最大級の技術革新になる可能性を秘めた量子コンピュータとは?

公開日2020/09/09 更新日2020/09/10

次世代の高速計算機として研究・開発が進められているのが“量子コンピュータ”です。実用化されると、これまで解決できなかった課題もクリアされるだろうと、大きな期待が寄せられています。

デジタル時代のビジネスパーソンとしては、量子コンピュータの、何がどう凄いのか、そしてどういうことができるようになるのかを知っておく必要があるでしょう。

桁違いの計算能力の量子コンピュータ

イラストを使用しながら、量子コンピュータをわかりやすく解説している「絵で見てわかる量子コンピュータの仕組み」(宇津木健著)によると、量子コンピュータとは、「量子力学特有の物理状態を積極的に用いて高速計算を実現するコンピュータ」のことです。

簡単にいえば、少ない回数の計算で瞬時に答えを導き出すことができる、これまでのコンピュータとは異なる、桁違いの計算能力を有する新しい計算機ということでしょうか。

高速計算のコンピュータといえば、日本のスパコン「富岳」が、1秒間に約41京回(京は1兆の1万倍)の計算速度を達成して世界1となりましたが、量子コンピュータは、それをはるかに上回る計算能力なのです。

その驚異の計算能力については、最先端のスパコンで約1万年かかるとされる問題を、量子コンピュータが3分20秒で解いたと、2019年にグーグルが発表しています。

「0と1」ではなく「0でもあり、1でもある」という量子の特性

では、そもそも「量子」とは何のことでしょうか。理系出身のビジネスパーソンなら、それなりに説明できるでしょうが、文系出身者にとっては、苦手な分野といえるのではないでしょうか。

人間の体や身の回りの物質を形づくるのは原子で、原子は電子や陽子、中性子でできています。量子とは、原子レベル以下の物質やエネルギーの粒のようなものと考えればわかりやすいでしょう。

この量子には、“同時に2つ以上の状態をとる”という、量子の世界にみられる物理法則「量子力学」が働いています。その、量子力学を利用したのが量子コンピュータで、ふつうのコンピュータとは仕組みそのものが異なります。

コンピュータは「0」と「1」の組み合わせで情報を処理しますが、「0」と「1」で表す情報処理の単位を「ビット」と呼びます。量子コンピュータの情報処理の単位は「0でもあり、1でもある」という「量子ビット」で、0と1が重なった状態です。

この量子力学を応用した代表的な技術といえば、物質を絶対零度(セ氏-273.5度)近くまで下げて、電気抵抗をなくす「超電導」技術で、リニアモーターカーに採用されているものです。

スパコンの苦手分野を解決するのが量子コンピュータ

ところで、計算をする能力は、お金の計算をはじめとして、人間生活に欠かせないものです。ソロバン、電卓など、簡単に計算できるアイテムも、次々と登場してきました。

製品の製造や建築物の設計、地球環境の測定なども、複雑な計算方法で行われていますが、より高度な計算をするために開発されたのが電子計算機、いわゆるコンピュータです。実用化されたのは1960年代ですが、いまや、個人でも家庭でも、あらゆる場面でコンピュータが活躍しています。

そして、コンピュータのはるか上の計算能力を誇るスパコンが登場します。しかしスパコンも万能ではなく、苦手な分野があります。その苦手分野を解決する役割を期待されているのが量子コンピュータです。

21世紀最大級の技術革新になる可能性

まだまだビジネスや日常生活で、実際に利用される段階にはなっていません。ただ、クラウド経由で利用することができることから、多くの大学や企業で、活用方法を研究する動きが広がっています。

なかでも、研究が進んでいるのが、化学製品開発分野です。化学製品は、無数にある分子の組み合わせによってできますが、量子コンピュータを使えば、分子設計などのシミュレーション(模擬実験)を高速で行えます。便利で機能的な新たな化学製品が、次々と世に送り出されるようになるかもしれません。

ただ、本格的な量子コンピュータが実現するのは20~30年後といわれています。実用化になれば、金融などの分野に革新をもたらすともいわれています。

まとめ

量子コンピュータが実用化となるまでには、まだまだクリアしなければならない技術的な課題が多いのも事実です。現在は、ゲート方式の量子コンピュータですが、量子のビット数は50個程度です。実用化となるためには、ビット数を100万個から1億個に増やさなければなりません。

しかし、21世紀最大級の技術革新になる可能性を秘めているだけに、産業界や私たちの日常生活を根本から変えることになりそうです。

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