東証ETFのキーパーソンに聞く

欧州有数のETFプロバイダー

UBSが考える“ユーロ圏のETFに投資する意義”

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スイスに本拠地を置く外資系金融機関・UBS。日本においても50年を超える歴史があり、「ウェルス・マネジメント」「インベストメント・バンク」「アセット・マネジメント」という3つのビジネスを展開している。

2015年3月には、「UBS ETF」10銘柄を東京証券取引所に上場。そのうち7銘柄は、日本では珍しいヨーロッパの株式指数に連動したETFとして、投資家から重宝されている。「UBS ETF」の特徴とヨーロッパを取巻く経済環境について、運用ソリューション本部ETF & インデックスファンド営業部長の稲 寛彰さんに伺った。

前職の頃から感じていた「ETFの可能性」

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――UBSではヨーロッパの株式指数に連動するETFを展開しているところが特徴的ですが、そもそもスイスに拠点を置く金融機関が日本に進出したきっかけはどこにあったのでしょう?

「UBSグループの前身であるスイス・ユニオン銀行、スイス銀行コーポレイションが日本に進出した1960年代は、外資系金融機関が日本に注目し始めた時期で、当社もオポチュニティを捉えるべく、日本進出を決めたそうです。欧州のユニバーサルバンクとして銀行業を中心に広範な金融サービスを提供していましたが、1990年代から英米の投資銀行との合併を経て、世界的な金融機関として現在まで日本でも証券業務を含む各事業を展開しています」

――稲さんは、いつ頃UBS証券に入社されたのですか?

「私は2016年5月にUBSアセット・マネジメントに入社しまして、その後、UBS証券に出向し、現在のETFチームに参画することとなりました」

――入社される前も金融関係の仕事を?

「はい。日本、中国、ヨーロッパ、米国の投資銀行での機関投資家営業やヘッジファンドの営業を経験し、2010年代の初めには米系金融情報サービス会社に在籍していました。

そこではアクティブ運用のリサーチビジネスの担当をしていたのですが、ビジネスが縮小傾向にあるタイミングだったのです。一方、別部門の指数ビジネスは拡大傾向にあり、時代の流れは指数と連動するETFにあると感じていました」

――前職の頃から、ETFの可能性を感じていたのですね。

「ETFは透明性が高く、フィーも安く抑えられるので、個人・機関いずれの投資家にも受け入れられる商品だろうと考えていました。たまたま同じ時期に、UBS証券で、UBS ETFの東京証券取引所での上場を担当した方から『一緒にETF拡大のため働かないか』と声をかけていただき、UBS証券への転職を決めたのです」

日本の市場で立ちはだかった壁は「ETFの認知度」


――UBS ETFの上場が2015年3月なので、稲さんが入社した頃には既に上場されていましたが、その頃のUBS ETFの印象はいかがでしたか?

「UBS ETFは、2001年にヨーロッパの証券取引所で最初の株式ETFを上場し、2015年当時までにヨーロッパの指数を中心に幅広いカテゴリーのETFを欧州の主な取引所に上場してきました。そして、ヨーロッパの次に展開する市場として、日本が選ばれたのです。

UBS ETFを東証に上場した2015年当時は、米系ETFプロバイダーが提供するETFは日本でも有名でしたが、ヨーロッパ系ETFプロバイダーのETFは馴染みのないものだったと思います。その分、競合がいなかったので、展開しやすいだろうと考えていました。

また、UBSのブランド力は既に日本でも認知されていたので、UBS ETFは伸びしろがあり、普及のために尽力しがいのある商品だと感じましたね」

――拡大の可能性を秘めた商品だったのですね。ところで、なぜヨーロッパの次に日本の市場で展開することになったのでしょう?

「日本におけるUBSグループは既に50年超の歴史があり、事業も幅広く展開していました。マーケットメーカーとの連携や商品の開発力など、金融機関としての総合力が求められるETFビジネスを行う基盤が既に構築されていたのです。その部分が理由として挙げられます。

なおかつ、日本の金融市場の規模は大きく、成熟していたので、ヨーロッパや米国のようにETFが受け入れられるだろうということで、フォーカスされた背景があると思います」

――大きな市場として期待されていたのですね。稲さんが入社されてから、ETF事業はどのように進んでいきましたか?

「2016年、2017年はリテール向けにUBS ETFのプロモーションに力を入れました。JPXやメディア、各証券会社のイベントに参加して、日本全国いろいろな会場で商品を訴求し、我々が持っている知識を展開しました。ただ、当時はまだETFの認知度が低く、個人投資家の皆さんにETFを理解していただくことが難しかった印象があります。

既にETFを活用している個人投資家の方には、個別株の経験も投資信託の経験も豊富という共通点がありました。そのヒントを受けて、さまざまな証券会社とコラボしてセミナーなどを開きながら、個別株・投資信託・ETFと、いい形で経験を積みながら使い分けていただけるように、情報を発信していきました」

――そこから現在まで、5年の月日が経ちましたが、個人投資家の皆さんの感覚は変わってきましたか?

「そうですね。この5年間で、ETFそのものの認知が進んでいることを感じますし、我々が東証に上場している10銘柄のETFの残高も少しずつ拡大してきています。ETFの活用が進んできているという認識です」

UBS ETFは“国際分散投資”を実現するツール


――「UBS ETFユーロ圏大型株50」「UBS ETF欧州株」のようにヨーロッパの株式指数に連動しているETFは、日本のETF市場では珍しいですが、日本で展開する意義とは?

「日本のマーケット、特にネット証券では、米国やシンガポール、香港などの銘柄は扱っていても、ヨーロッパの銘柄はあまり扱われていません。だからこそ、ヨーロッパの株式指数に連動するETFを日本で展開することには大きな意味があると考えています。

ETFという形で展開することで、個人投資家の方でも手軽に取引していただけるようになります。国際分散投資の1つの選択肢として、取り入れていただけたらうれしいですね」

――ETFなら、証券会社経由でリアルタイムの取引もできるので、透明性や機動性も高いですよね。

「私が入社した直後に、印象的な出来事がありました。2016年6月23日にイギリスのEU離脱を決める国民投票が実施され、その結果が確定したのがちょうど東証の立会時間中だったのです。

投票結果を受けて、『UBS ETF英国大型株』『UBS ETF英国株』はものすごい勢いで15%ほど値下がりしたのですが、熟練の個人投資家の方々が逆張り志向でそのETFを購入されていました。現在までにトータルリターンが50%程度上がってきているので、あの時から5年弱お持ちいただけていれば、資産形成のお役に立てているだろうと思います」

――手軽に外国株式に投資できるところが、ETFの魅力の1つですよね。ところで外国への投資を検討する際には投資先の経済状況も知りたいところですが、ヨーロッパの現状はいかがですか?

「ヨーロッパにはドイツのように、日本と近い経済モデルを持つ輸出大国もあり、他方、フランスのように、移民を受け入れながら所得者層の人口を拡大し、内需のしっかりとした、バランスの取れた経済モデルを確立している国もあります。

そのため、ヨーロッパ、特にユーロ圏は非常に成長性の高いマーケットだといえます。COVID-19による影響があったとしても、しっかりとした経済モデルを持っているので安定性があり、投資対象として可能性のある地域だと考えられます」

ヨーロッパに本拠地を置く強みを生かし、国際分散投資に役立つETFを展開しているUBS。後編では、ヨーロッパにおけるETF活用の現状と、そのキーワードとなる「ESG投資」について、稲さんに聞く。
(有竹亮介/verb)

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