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かんぽ生命問題、「不適切契約」を見抜くチェックポイントは

現時点で不適切契約が疑われる18万件は“氷山の一角”ともいわれる(写真:時事通信フォト)

現時点で不適切契約が疑われる18万件は“氷山の一角”ともいわれる(写真:時事通信フォト)

 かんぽ生命は、保険料を二重に徴収するなど不適切販売の恐れのある契約が、過去5年だけで約18万件にのぼることを明らかにした。知らない間に自分や家族が不利益を強いられていないか、契約者はどうチェックすればよいか。

 今回、問題となった多くのケースでは保険の「乗り換え」がカギとなっている。具体的に問題があったと指摘されている手口は主に2種類ある。

 一つは保険の乗り換えを勧める際に、一回解約させ、その後3か月以上経ってから、新規契約を結ばせていたパターンだ。保険評論家の山野井良民氏が指摘する。

「3か月以内の新契約だと、『乗り換え』とみなされて局員の手当が半額になってしまうため、あえて空白期間を設けるわけです。無保険の期間中に亡くなったり事故に遭ったりした顧客は、保障を受けられない。

 もう一つは乗り換えの際に従来の保険と新規の保険の重複期間があるパターン。こちらの場合、顧客は保険料を二重に払わされていました」

 こうした不適切販売の背景には、歪な収益構造に起因する厳しいノルマがあるとみられている。利益が出ない郵便事業よりも、保険販売で手数料を稼ぐことを求められる傾向が強まっているのだ。

「2015年度から郵便局員の給与体系が変わり、営業職の場合、固定給が約1割カットされ、その分が営業手当に回されるようになった。局員が無理矢理にでも成績を上げなければいけない状況が生まれたのです。

 半官半民のかんぽ生命には民業圧迫防止の観点から、顧客1人あたりの加入限度額は2000万円までといった制約があった。子育て世代の場合、子供の教育費があるので5000万円くらいの保険をかけるケースも少なくないが、かんぽ生命の商品だけではニーズを満たせない。そうなると営業のターゲットは高齢者になる。かんぽ生命はもともと、加入者の3~4割が高齢者で、不適切な乗り換え募集が全国的に行なわれてしまったとみられています」(同前)

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