現在総務省が進めているモバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」では、MVNOがキャリアから回線を利用する際に支払う「接続料」の見直しが進められている。見直しによって影響を受けるのは一体誰なのだろうか。

フォローアップ会合のテーマの1つとなった接続料

近年、携帯電話業界の商習慣見直しに積極的に取り組んでいる総務省。端末と料金を一体で提供する大手キャリアの販売手法を問題視し、昨年5月にはSIMロック解除の義務化を断行。さらに今年4月には「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を打ち出し、大手キャリアに相次いで行政指導を実施することで、スマートフォンの実質0円販売が事実上できなくなるなどの大きな変化が起きている。

一方で、総務省は通信料金の競争を加速するため、MVNOの競争力強化に向けた取り組みを積極化している。そうした総務省の後押しもあって、大手キャリアからMVNOに移行するユーザーは増えているが、それでも携帯電話市場全体におけるMVNOのシェアは今なお数パーセント程度に過ぎない。

そこで総務省は、MVNOの競争力をより強化しつつ、ユーザーの選択肢を増やすため、大手キャリアに対して一層の改善を求める方針のようだ。そしてその議論の場となっているのが、10月から実施されている「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」である。

「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」は、SIMロック解除やガイドライン施行後のフォローアップを目的として開催されている

この会合では、SIMロック解除義務化や4月のガイドラインなど、一連の措置の成果を振り返り、市場競争の加速に向けた新しい施策に関する議論が進められている。この会合で繰り広げられている議論を見るに、大きなテーマの1つとなっているのは、SIMロック解除と端末購入補助の適正化に関するフォローアップなのだが、もう1つのテーマとなっているのが「接続料」である。

接続料とは、要するにMVNOがキャリアから回線を借りる際に支払う料金のこと。特にデータ通信の接続料に関しては、NTTドコモの場合2009年には月額746万円であったのが、年々大幅な低廉化が進められており、2014年には79万円と、10分の1近くにまで下落。そのことが、規模の小さい企業がMVNOとして通信サービスを提供しやすくなった要因へとつながっている。

データ通信の接続料は5年で10分の1にまで下落しているが、3キャリアの間で1.5倍もの開きがある