"新潟の麺"と言うと、その意外性も相まって「イタリアン」と答える人も多いだろう。実はラーメンもまた、バリエーション豊かに取りそろえている。「新潟5大ラーメン」と称されることもあるようだが、その中に納まりきらないラーメンももちろんある。

よくあるフードコートに「にぼしまじん」はいる

「あまり知られていないんですけど、村上市にもおいしいラーメンがいろいろあるんですよ! 」というのは地元民の声。「オススメを教えてください」とお願いしたところ、何とご当地密着型ショッピングモール「村上プラザ」に案内された。これはどういうこと?

市民が憩う中心地にラーメンあり

「オススメのお店はあそこにあります」という言葉とともに示された先には、「FOOD COURT」の文字。いろんなお店が立ち並び、ショッピングの小休止にもぴったりな、あのフードコートである。お店の名は「村上ラーメン にぼしまじん」。同じ村上市内に店を構える「小太喜屋」がプロデュースしたラーメン店で、その名の通り、「にぼし好きによる にぼし好きの為の にぼしたっぷりの らーめん」だ。

"最強寒波"の中、「村上プラザ」に到着。その中のフードコートが目指す地だ

ちなみに、にぼしまじんが店を構えている村上プラザは「イオン村上東店」に併設されたショッピングモールで、車が欠かせない村上市民のために大きな駐車場を備えている。また、平日と20日30日の「お客様感謝デー」、15日の「GG感謝デー」には、最寄り駅となるJR羽越本線「村上駅」間で無料シャトルバスを運行。地元民の生活に密着した施設だ。

ショッピングモールゆえににぼしまじんも年中無休。ありがたい存在である。訪れた日は平日かつお昼のピークも過ぎた時間だったため、フードコートの中はすいていたが、休日のランチタイムには行列にもなるそうだ。営業時間は10時~20時となる。

大盛りは何かとお得

にぼしまじんのラーメンは、「しょうゆ」(620円~)、「みそ」(680円~)、「辛みそ」(700円~)、「しお」(680円~)、「背脂」(680円~)、「ゴマ」(650円~)、そして「酸ラーメン」(680円~)、と種類が豊富。ミニソフト付きの「おこさましょうゆ」(520円)もあるあたり、さすがフードコートである。その中でも人気メニューはしょうゆの「まじんしょうゆ」(770円)とみその「まじんみそ」(830円)で、この"まじん"メニューは他とはちょっとトッピングが違う。

にぼしまじんのメニュー。フードコートの定番、ソフトクリームもある

そしてこちらもフードコートらしく、カウンターで注文して会計を済ますと番号札が渡され、出来上がったらカウンターにとりに行くというスタイル。お水もセルフサービスだ。手際よく作られていく様子をカウンターから眺めるのもよし、フードコートの中央に設置された漫画棚から漫画を選んで読むもよし、窓辺に座ってくつろぐもよし。

もう少しで完成

漫画を読んで待つというのもあり

ちょうど吹雪いていたが、この景色が一層、あったかいラーメンをおいしくさせてくれるのかも

麺は自家製麺で完全無添加。しょうゆにはしょうゆ専用の、みそにはみそ専用の麺を用いている。うれしいことに、「お子さましょうゆ」を除き全てのラーメンは大盛り無料で、麺の量は160gから240gになる。その好意に甘えて、まじんしょうゆを大盛りでお願いした。

身体にうれしいにぼしの濃さ

写真の上が大盛りのまじんしょうゆ、下が並盛りのまじんしょうゆ。"まじん"メニューにすると、豚と鶏のダブルチャーシューや半熟卵も含めてトッピングがパワーアップする。さらに、大盛りになると麺のほか、ネギとメンマが増量される。是非、おなかをすかせて来ていただきたい。

「まじんしょうゆ 大盛り」(770円)

「まじんしょうゆ」(770円)

ほんのり濁ったスープは濃く、にぼしが凝縮されているのがよく分かる。とは言え、にぼし独特のエグミはさほど感じない。また、しょうゆの風味も濃いめであるものの、水が欲しくなるような塩分の強さでもない。「この濃さが村上流なのか」と思いもしたのだが、「いやいや、地元民もびっくりの濃さですよ」とのこと。

麺は通常160gだが、大盛りにすると240gになる

もちっとした縮れ麺、スープ、麺、スープ、たまにとろっとした半熟卵やダブルチャーシューを挟んで、またスープへ。この味がフードコートで味わえる村上市民がうらやましいと思った。

「まじんみそ」(830円)にはコーンが加わる。こってりとしたスープはつけ麺風で、にぼしの濃さはここにも健在だ

にぼしまじんの"村上ラーメン"という言葉には、村上ならではのラーメンを広く知ってもらいたいという意味も込められている。とは言え、村上のラーメンは多種多様だ。

例えば同じ村上には、「玉寿し食堂」のように中華そば風の「天ぷらラーメン」(700円)というラーメンもある。この天ぷらラーメンはお客からの要望で誕生したもので、大きないか天が鎮座している。とんこつしょうゆのスープにいか天の油が溶け出し、あっさりからこってりへと味の変化を楽しめるのもいい。

「玉寿し食堂」の「天ぷらラーメン」(700円)

ほっそりとした縮れ麺も中華麺風

以前は寿し屋だったらしく、その前には飴屋だった時代もあるとか。「ラーメンを始めた理由ですか? それはもう、おばあちゃんに聞かないと分からないんですよ……」とのこと。玉寿し食堂へは村上駅から車で15分程度。営業時間は11時~16時で定休日は木曜日

いろいろ食べ歩いてみて、「私にとっての"村上ラーメン"はここだ」というお店を見つけてほしい。

※記事中の価格は全て税込
取材協力: きらきら羽越観光圏