自分自身を成長させ、万一の場合にも対処できるためのサイドワークも、選び方によっては本業に影響が出たり、ハードワークになったり、気持ちに余裕がなくなったりと、自分の首を絞めることにもなりかねません。選択には十分な配慮が必要です。どんなことに注意が必要なのでしょうか。

会社員とサイドワーク まとめ
会社員とサイドワーク その1 - 不確実性の時代に向けて
会社員とサイドワーク その2 - サイドワークの選び方

サイドワークの選び方

自分が取り組んでみたい分野が一番ですが、なんでもよいというわけではありません。本業の邪魔にならずに長く続けられそうなものを十切に吟味してみて下さい。

・本業に不利益にならない業種

万一サイドワークが会社に知れてしまったとしても、当たり前ですが背任行為とされない分野であることがなによりも大切です。

・日々のストレス解消になる業種

サイドワークがストレスになるようであれば、やらない方がましです。楽しくできるものであるかどうかは重要なポイントです。

・ネットワークが築けるもの

社会的スキルのひとつにネットワーク力があります。コツコツ一人で取り組んで力が付く分野もあるでしょうが、なんといっても仕事は人の繫がりがモノを言います。

・趣味と実益を兼ねるもの

無趣味だという人もいますが、中には休日は趣味に没頭するという人もいます。ゆくゆくはインストラクターなど教える立場になったり、作品を販売したりというケースは今までも普通にあります。

・社会人としてスキルアップになるもの

時間の切り売りのサイドワークはお勧めできません。近々起業するので、少しでも資金をためたいなど、資金のプールに特別な意味がある場合以外は自らの成長に投資してください。

週末起業の勧め

仕事や会社に愛想が尽きて、いざ独立となってもほぼ失敗するでしょう。藤井孝一氏の著書に『週末起業』があります。これからの時代に必要な「なるほど」と思わせるものが満載です。簡単に言えばいきなり開業したりせずに会社員を続けながら、週末にサイドワークを行い、それが安定成長して、本業よりも収入が多くなりそうであれば、起業すればよいという、リスクを取らずに起業する方法が示されています。

経営のスキルがまだない会社員にとって、週末起業は程よいスビートだと思います。一人で起業もよし、友人や配偶者、定年退職した親などと共同経営するパターンなどいろいろ考えられます。子育てのために働き方を変えざるを得なくなった妻などとの共同経営は、なかなかメリットが大きいのではと思います。

これからの時代夫婦で働かざるを得ない状況でしょう。しかし、保育園に入所できなかったり、子供が病気で退職せざるを得なかったりと、子育てには思わぬ事態が起きがちです。妻をメインに夫が週末手伝うというスタイルは大いに可能性がありそうです。

ネットワークが大切

社会に通用するスキルにはいろいろありますが、なんといっても多くの人間とのつながりではないでしょうか。同業者や異業種の人々とのネットワークはどんな仕事でもペースとなる部分です。はじめはこれと業種を決めずに、異業種交流会などに参加してみるのもよいと思います。友人や同僚などとの付き合いでは得られないエネルギーを感じたり、仕事のヒントを得られたりします。

サイドワークは会社にとってもメリットあり?

副業不可の会社では、会社に内緒に行うことになります。しかし、社員が生き生きとし、広く社会に通用する人間に成長していくことは、会社にとっても大いにメリットがあるはずです。本業がおろそかになるようなサイドワークは本末転倒です。本業にもプラスになるような仕事で、自分が広く社会に通用するようになりえる仕事が理想でしょう。楽しくサイドワークに取り組めて、そこで得られたスキルで本業の業績が上がっている実感が得られれば最高でしょう。会社はよく社員を見ています。私の周りで行われていたサイドワークも、おそらく会社もわかっていた部分もあるのではないかと思いますが、一生懸命に仕事に取組み成果を示していて、背任行為がなく、会社に不利益がなければ、咎めればかえって会社の不利になるでしょう。そうした人材になりたいものです。副業可としている会社もそうした部分を期待している側面もあるのではないかと思います。

不確実性の時代と言われて久しいですが、レールがない以上、その閉塞感に対する不満を口にするのではなく、レールは自分で敷く、そのために必要なことに粛々として取り組む、これにつきます。不満を言ってもなんの解決にはなりません。

会社員とサイドワーク まとめ
会社員とサイドワーク その1 - 不確実性の時代に向けて
会社員とサイドワーク その2 - サイドワークの選び方


<著者プロフィール>

佐藤 章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。

※イラストは本文とは関係ありません